Ⅱ列王

[ 1 ]

1:1 アハブの死後、モアブがイスラエルに背いた。

1:2 アハズヤは、サマリアにあった彼の屋上の部屋の欄干から落ちて重体に陥った。彼は使者たちを遣わし、「行って、エクロンの神、バアル・ゼブブに、私のこの病が治るかどうか伺いを立てよ」と命じた。

1:3 そのころ、の使いがティシュベ人エリヤに告げた。「さあ、上って行って、サマリアの王の使者たちに会い、彼らにこう言え。『あなたがたがエクロンの神、バアル・ゼブブに伺いを立てに行くのは、イスラエルに神がいないためか。

1:4 それゆえ、はこう言われる。あなたは上ったその寝台から降りることはない。あなたは必ず死ぬ。』」そこでエリヤは出て行った。

1:5 使者たちがアハズヤのもとに戻って来たので、彼は「なぜおまえたちは帰って来たのか」と彼らに尋ねた。

1:6 彼らは答えた。「ある人が私たちに会いに上って来て言いました。『自分たちを遣わした王のところに帰って、彼にこう告げなさい。はこう言われる。あなたが人を遣わして、エクロンの神、バアル・ゼブブに伺いを立てるのは、イスラエルに神がいないためか。それゆえ、あなたは上ったその寝台から降りることはない。あなたは必ず死ぬ。』」

1:7 アハズヤは彼らに尋ねた。「おまえたちに会いに上って来て、そんなことを告げたのはどんな男か。」

1:8 彼らが「毛衣を着て、腰に革の帯を締めた人でした」と答えると、アハズヤは「それはティシュベ人エリヤだ」と言った。

1:9 そこでアハズヤは、五十人隊の長を、その部下五十人とともにエリヤのところに遣わした。隊長がエリヤのところに上って行くと、そのとき、エリヤは山の頂に座っていた。隊長はエリヤに言った。「神の人よ、王のお告げです。下りて来てください。」

1:10 エリヤはその五十人隊の長に答えて言った。「私が神の人であるなら、天から火が下って来て、あなたとあなたの部下五十人を焼き尽くすだろう。」すると、天から火が下って来て、彼とその部下五十人を焼き尽くした。

1:11 王はまた、もう一人の五十人隊の長を、その部下五十人とともにエリヤのところに遣わした。隊長はエリヤに言った。「神の人よ、王がこう言われます。急いで下りて来てください。」

1:12 エリヤは彼らに答えた。「私が神の人であるなら、天から火が下って来て、あなたとあなたの部下五十人を焼き尽くすだろう。」すると、天から神の火が下って来て、彼とその部下五十人を焼き尽くした。

1:13 王はまた、第三の五十人隊の長と、その部下五十人を遣わした。この三人目の五十人隊の長は上って行き、エリヤの前にひざまずき、懇願して言った。「神の人よ、どうか私のいのちと、このあなたのしもべ五十人のいのちをお助けください。

1:14 ご承知のように、天から火が下って来て、先の二人の五十人隊の長とそれぞれの部下五十人を、焼き尽くしてしまいました。今、私のいのちをお助けください。」

1:15 の使いがエリヤに「彼と一緒に下って行け。彼を恐れてはならない」と言ったので、エリヤは立って、彼と一緒に王のところに下って行き、

1:16 王に言った。「はこう言われる。『あなたが使者たちをエクロンの神、バアル・ゼブブに伺いを立てに遣わしたのは、イスラエルにみことばを伺う神がいないためか。それゆえ、あなたは上ったその寝台から降りることはない。あなたは必ず死ぬ。』」

1:17 王は、エリヤが告げたのことばのとおりに死んだ。そしてヨラムが代わって王となった。それはユダの王ヨシャファテの子ヨラムの第二年のことであった。アハズヤには息子がいなかったからである。

1:18 アハズヤが行ったその他の事柄、それは『イスラエルの王の歴代誌』に確かに記されている。

Ⅱ列王

[ 2 ]

2:1 がエリヤを竜巻に乗せて天に上げようとされたときのこと、エリヤはエリシャを連れてギルガルから出て行った。

2:2 エリヤはエリシャに「ここにとどまっていなさい。が私をベテルに遣わされたから」と言った。しかしエリシャは言った。「は生きておられます。あなたのたましいも生きています。私は決してあなたから離れません。」こうして、彼らはベテルに下って行った。

2:3 すると、ベテルの預言者の仲間たちがエリシャのところに出て来て、彼に言った。「今日、があなたの主人をあなたから取り上げられることを知っていますか。」エリシャは、「私も知っていますが、黙っていてください」と答えた。

2:4 エリヤは彼に「エリシャ、ここにとどまっていなさい。が私をエリコに遣わされたから」と言った。しかし彼は言った。「は生きておられます。あなたのたましいも生きています。私は決してあなたから離れません。」こうして、彼らはエリコにやって来た。

2:5 するとエリコの預言者の仲間たちがエリシャに近づいて来て、彼に言った。「今日、があなたの主人をあなたから取り上げられることを知っていますか。」エリシャは、「私も知っていますが、黙っていてください」と答えた。

2:6 エリヤは彼に「ここにとどまっていなさい。が私をヨルダンへ遣わされたから」と言った。しかし彼は言った。「は生きておられます。あなたのたましいも生きています。私は決してあなたから離れません。」こうして、二人は進んで行った。

2:7 一方、預言者の仲間たちのうち五十人は、行って遠く離れて立った。二人がヨルダン川のほとりに立ったとき、

2:8 エリヤは自分の外套を取り、それを丸めて水を打った。すると、水が両側に分かれたので、二人は乾いた土の上を渡った。

2:9 渡り終えると、エリヤはエリシャに言った。「あなたのために何をしようか。私があなたのところから取り去られる前に求めなさい。」するとエリシャは、「では、あなたの霊のうちから、二倍の分を私のものにしてください」と言った。

2:10 エリヤは言った。「あなたは難しい注文をする。しかし、私があなたのところから取り去られるとき、あなたが私を見ることができれば、そのことはあなたにかなえられるだろう。できないなら、そうはならない。」

2:11 こうして、彼らがなお進みながら話していると、なんと、火の戦車と火の馬が現れ、この二人の間を分け隔て、エリヤは竜巻に乗って天へ上って行った。

2:12 エリシャはこれを見て、「わが父、わが父、イスラエルの戦車と騎兵たち」と叫び続けたが、エリヤはもう見えなかった。彼は自分の衣をつかみ、それを二つに引き裂いた。

2:13 それから、彼はエリヤの身から落ちた外套を拾い上げ、引き返してヨルダン川の岸辺に立った。

2:14 彼は、エリヤの身から落ちた外套を取って水を打ち、「エリヤの神、はどこにおられるのですか」と言った。エリシャが水を打つと、水が両側に分かれ、彼はそこを渡った。

2:15 エリコの預言者の仲間たちは、遠くから彼を見て、「エリヤの霊がエリシャの上にとどまっている」と言って、彼を迎えに行き、地にひれ伏して礼をした。

2:16 彼らはエリシャに言った。「しもべたちのところに五十人の力ある者がいます。どうか彼らにあなたのご主人を捜しに行かせてください。の霊がエリヤを運んで、どこかの山か谷に投げたかもしれません。」するとエリシャは、「行かせてはいけません」と言った。

2:17 しかし、彼らがしつこく彼に願ったので、ついにエリシャは、「行かせなさい」と言った。そこで、彼らは五十人を送り出した。彼らは三日間捜したが、エリヤを見つけることができなかった。

2:18 彼らは、エリコにとどまっていたエリシャのところへ帰って来た。エリシャは彼らに言った。「行かないようにと、あなたがたに言ったではありませんか。」

2:19 さて、この町の人々はエリシャに言った。「あなた様もご覧のとおり、この町は住むのには良いのですが、水が悪く、この土地は流産を引き起こします。」

2:20 するとエリシャは言った。「新しい皿に塩を盛って、私のところに持って来なさい。」人々は彼のところにそれを持って来た。

2:21 エリシャは水の源のところに行って、塩をそこに投げ込んで言った。「はこう言われる。『わたしはこの水を癒やした。ここからは、もう、死も流産も起こらない。』」

2:22 こうして水は良くなり、今日に至っている。エリシャが言ったことばのとおりである。

2:23 エリシャはそこからベテルへ上って行った。彼が道を上って行くと、その町から小さい子どもたちが出て来て彼をからかい、「上って来い、はげ頭。上って来い、はげ頭」と言ったので、

2:24 彼は向き直って彼らをにらみつけ、の名によって彼らをのろった。すると、森の中から二頭の雌熊が出て来て、子どもたちのうち四十二人をかき裂いた。

2:25 こうして彼は、そこからカルメル山に行き、そこからさらに、サマリアに帰った。

Ⅱ列王

[ 3 ]

3:1 アハブの子ヨラムは、ユダの王ヨシャファテの第十八年に、サマリアでイスラエルの王となり、十二年間、王であった。

3:2 彼はの目に悪であることを行ったが、彼の父母ほどではなかった。彼は、父が作ったバアルの石の柱を取り除いた。

3:3 しかし彼は、イスラエルに罪を犯させたネバテの子ヤロブアムの罪に執着し、それから離れることがなかった。

3:4 さて、モアブの王メシャは羊を飼っていて、子羊十万匹と、雄羊十万匹分の羊毛をイスラエルの王に貢ぎ物として納めていた。

3:5 しかしアハブが死ぬと、モアブの王はイスラエルの王に背いた。

3:6 そこで、ヨラム王はその日にサマリアを出発し、すべてのイスラエル人を動員した。

3:7 そして、ユダの王ヨシャファテに人を遣わして言った。「モアブの王が私に背きました。私と一緒にモアブに戦いに行ってくれませんか。」ユダの王は言った。「行きましょう。私とあなたは一つ、私の民とあなたの民は一つ、私の馬とあなたの馬は一つです。」

3:8 そして言った。「どの道を上って行きましょうか。」するとヨラムは、「エドムの荒野の道を」と答えた。

3:9 こうして、イスラエルの王は、ユダの王とエドムの王と一緒に出かけたが、七日間も回り道をしたので、陣営の者と、後について来る動物たちのための水がなくなった。

3:10 イスラエルの王は、「ああ、がこの三人の王を呼び集めたのは、モアブの手に渡すためだったのだ」と言った。

3:11 ヨシャファテは言った。「ここには、のみこころを求めることができるの預言者はいないのですか。」すると、イスラエルの王の家来の一人が答えた。「ここには、シャファテの子エリシャがいます。エリヤの手に水を注いだ者です。」

3:12 ヨシャファテが、「のことばは彼とともにあります」と言ったので、イスラエルの王と、ヨシャファテと、エドムの王は彼のところに下って行った。

3:13 エリシャはイスラエルの王に言った。「私とあなたの間に何の関わりがあるでしょうか。あなたの父の預言者たちや、母の預言者たちのところに行かれたらよいでしょう。」すると、イスラエルの王は彼に言った。「いや、モアブの手に渡すために、この三人の王を呼び集めたのは、だ。」

3:14 エリシャは言った。「私が仕えている万軍のは生きておられます。もし私がユダの王ヨシャファテの顔を立てるのでなければ、私は決してあなたに目も留めず、あなたに会うこともしなかったでしょう。

3:15 しかし今、竪琴を弾く者をここに連れて来てください。」竪琴を弾く者が竪琴を弾き鳴らすと、の手がエリシャの上に下り、

3:16 彼は次のように言った。「はこう言われます。『この涸れた谷にはたくさんの水がたまる。』

3:17 がこう言われるからです。『風を見ず、大雨を見なくても、この涸れた谷には水があふれる。あなたがたも、あなたがたの家畜も、動物もこれを飲む。』

3:18 これはの目には小さなことです。主はモアブをあなたがたの手に渡されます。

3:19 あなたがたは、城壁のある町々、立派な町々をことごとく打ち破り、すべての良い木を切り倒し、すべての水の源をふさぎ、すべての良い畑を石をもって荒らすでしょう。」

3:20 朝になって、ささげ物を献げるころ、なんと、水がエドムの方から流れて来て、この地は水で満たされた。

3:21 モアブ人はみな、王たちが自分たちを攻めに上って来たことを聞いた。よろいを着けることができる者はすべて呼び集められ、国境の守備に就いた。

3:22 翌朝早く起きてみると、太陽が水の面を照らしていた。モアブ人は、向こう側の水が血のように赤いのを見て、

3:23 こう言った。「これは血だ。きっと王たちが切り合って、同士討ちをしたに違いない。さあ今、モアブよ、分捕りに行こう。」

3:24 彼らがイスラエルの陣営に攻め入ると、イスラエルは立ってモアブ人を討った。モアブ人はイスラエルの前から逃げた。イスラエルは攻め入って、モアブ人を討った。

3:25 さらに、彼らは町々を破壊し、すべての良い畑にだれもが石を投げ捨てて石だらけにし、すべての水の源をふさぎ、すべての良い木を切り倒した。ただキル・ハレセテにある石だけが残ったが、その町も石を投げる者たちが取り囲み、これを打ち破った。

3:26 モアブの王は、戦いが自分に不利になっていくのを見て、剣を使う者七百人を引き連れ、エドムの王のところに突き入ろうとしたが、果たせなかった。

3:27 そこで、彼は自分に代わって王となる長男を取り、その子を城壁の上で全焼のささげ物として献げた。このことのゆえに、イスラエル人に対する激しい怒りが起こった。そこでイスラエル人は、そこから引き揚げて、自分の国へ帰って行った。

Ⅱ列王

[ 4 ]

4:1 預言者の仲間の妻の一人がエリシャに叫んで言った。「あなたのしもべである私の夫が死にました。ご存じのように、あなたのしもべはを恐れていました。ところが、債権者が来て、私の二人の子どもを自分の奴隷にしようとしています。」

4:2 エリシャは彼女に言った。「何をしてあげようか。私に話しなさい。あなたには、家の中に何があるのか。」彼女は答えた。「はしためには、家の中に何もありません。ただ、油の壺一つしかありません。」

4:3 すると、彼は言った。「外に行って、近所の皆から、器を借りて来なさい。空の器を。それも、一つや二つではいけません。

4:4 家に入ったら、あなたと子どもたちの背後の戸を閉めなさい。そしてすべての器に油を注ぎ入れなさい。いっぱいになったものは、わきに置きなさい。」

4:5 そこで、彼女は彼のもとから去って行き、彼女と子どもたちが入った背後の戸を閉めた。そして、子どもたちが次々と自分のところに持って来る器に油を注ぎ入れた。

4:6 器がどれもいっぱいになったので、彼女は子どもの一人に言った。「もっと器を持って来なさい。」その子どもが彼女に、「もう器はありません」と言うと、油は止まった。

4:7 彼女が神の人に知らせに行くと、彼は言った。「行ってその油を売り、あなたの負債を払いなさい。その残りで、あなたと子どもたちは暮らしていけます。」

4:8 ある日、エリシャがシュネムを通りかかると、そこに一人の裕福な女がいて、彼を食事に引き止めた。それ以来、エリシャはそこを通りかかるたびに、そこに寄って食事をするようになった。

4:9 女は夫に言った。「いつも私たちのところに立ち寄って行かれるあの方は、きっと神の聖なる方に違いありません。

4:10 ですから、屋上に壁のある小さな部屋を作り、あの方のために寝台と机と椅子と燭台を置きましょう。あの方が私たちのところに来られるたびに、そこを使っていただけますから。」

4:11 ある日、エリシャはそこに来て、その屋上の部屋に入って横になった。

4:12 彼は若者ゲハジに言った。「ここのシュネムの女を呼びなさい。」ゲハジが呼ぶと、彼女はゲハジの前に立った。

4:13 エリシャはゲハジに言った。「彼女にこう伝えなさい。『本当に、あなたはこのように、私たちのことで一生懸命骨折ってくれたが、あなたのために何をしたらよいか。王か軍の長に、何か話してほしいことでもあるか』と。」彼女はそれにこう答えた。「私は私の民の間で、幸せに暮らしております。」

4:14 エリシャが「では、彼女のために何をしたらよいだろうか」と言うと、ゲハジは言った。「彼女には子がなく、それに、彼女の夫も年をとっています。」

4:15 エリシャが、「彼女を呼んで来なさい」と言ったので、ゲハジが彼女を呼ぶと、彼女は入り口のところに立った。

4:16 エリシャは言った。「来年の今ごろ、あなたは男の子を抱くようになる。」すると彼女は言った。「いいえ、ご主人様。神の人よ、このはしために偽りを言わないでください。」

4:17 しかし、この女は身ごもり、エリシャが彼女に告げたとおり、翌年のちょうどそのころに男の子を産んだ。

4:18 その子が大きくなって、ある日、刈り入れをする者たちと一緒にいる、父のところに出て行ったとき、

4:19 父親に、「頭が、頭が」と言った。父親は若者に、「この子を母親のところに抱いて行ってくれ」と命じた。

4:20 若者はその子を抱き、母親のところに連れて行った。この子は昼まで母親の膝の上に休んでいたが、ついに死んでしまった。

4:21 彼女は屋上に上がって、神の人の寝台にその子を寝かせ、戸を閉めて出て行った。

4:22 彼女は夫に呼びかけて言った。「どうか、若者一人と、雌ろば一頭を私のために出してください。私は急いで神の人のところに行って、すぐに戻って来ますから。」

4:23 すると彼は、「どうして、今日あの人のところに行くのか。新月祭でもなく、安息日でもないのに」と言ったが、彼女は「かまいません」と答えた。

4:24 彼女は雌ろばに鞍を置き、若者に命じた。「手綱を引いて進みなさい。私が命じなければ、手綱を緩めてはいけません。」

4:25 こうして彼女は出かけて、カルメル山の神の人のところへ行った。神の人は、遠くから彼女を見つけると、若者ゲハジに言った。「見なさい。あのシュネムの女があそこに来ている。

4:26 さあ、走って行って彼女を迎え、言いなさい。『あなたは無事ですか。あなたのご主人は無事ですか。お子さんは無事ですか』と。」彼女はそれにこう答えた。「無事です。」

4:27 それから彼女は山の上にいる神の人のところに来て、彼の足にすがりついた。ゲハジが彼女を追い払おうと近寄ると、神の人は言った。「そのままにしておきなさい。彼女の心に悩みがあるのだから。はそれを私に隠し、まだ私に知らせておられないのだ。」

4:28 彼女は言った。「私がご主人様に子どもを求めたでしょうか。この私にそんな気休めを言わないでくださいと申し上げたではありませんか。」

4:29 そこでエリシャはゲハジに言った。「腰に帯を締め、手に私の杖を持って行きなさい。たとえだれかに会っても、あいさつしてはならない。たとえだれかがあいさつしても、答えてはならない。そして、私の杖をあの子の頭の上に置きなさい。」

4:30 その子の母親は言った。「は生きておられます。あなたのたましいも生きています。私は決してあなたを離しません。」エリシャは立ち上がり、彼女の後について行った。

4:31 ゲハジは二人より先に行って、その杖を子どもの頭の上に置いたが、何の声もなく、何の応答もなかった。そこで引き返してエリシャに会い、「子どもは目を覚ましませんでした」と報告した。

4:32 エリシャが家に着くと、その子は寝台の上に死んで横たわっていた。

4:33 エリシャは中に入り、戸を閉めて、二人だけになってに祈った。

4:34 それから、寝台の上に上がり、その子の上に身を伏せ、自分の口をその子の口の上に、自分の目をその子の目の上に、自分の両手をその子の両手の上に重ねて、その子の上に身をかがめた。すると、その子のからだが温かくなってきた。

4:35 それからエリシャは降りて、部屋の中をあちらこちらと歩き回り、また寝台の上に上がり、子どもの上に身をかがめると、子どもは七回くしゃみをして目を開けた。

4:36 彼はゲハジを呼んで、「あのシュネムの女を呼んで来なさい」と言った。ゲハジが彼女を呼んだので、彼女はエリシャのところに来た。そこでエリシャは、「あなたの子どもを抱き上げなさい」と言った。

4:37 彼女は入って来て彼の足もとにひれ伏し、地にひれ伏した。そして、子どもを抱き上げて出て行った。

4:38 エリシャがギルガルに帰って来たとき、この地に飢饉が起こった。預言者の仲間たちが彼の前に座っていたので、彼は若者に命じた。「大きな釜を火にかけ、預言者の仲間たちのために煮物を作りなさい。」

4:39 彼らの一人が食用の草を摘みに野に出て行くと、野生のつる草を見つけたので、そのつるから野生の瓜を前掛けにいっぱい取って帰って来た。そして、彼はそれを煮物の釜の中に刻んで入れた。彼らはそれが何であるかを知らなかった。

4:40 彼らは皆に食べさせようとして、これをよそった。皆はその煮物を口にするやいなや、こう叫んだ。「神の人よ、釜の中に毒が入っています。」彼らは食べることができなかった。

4:41 エリシャは言った。「では、麦粉を持って来なさい。」彼はそれを釜に投げ入れて言った。「これをよそって、この人たちに食べさせなさい。」そのときにはもう、釜の中には悪い物はなくなっていた。

4:42 ある人がバアル・シャリシャから、初穂のパンである大麦のパン二十個と、新穀一袋を、神の人のところに持って来た。神の人は「この人たちに与えて食べさせなさい」と命じた。

4:43 彼の召使いは、「これだけで、どうして百人もの人に分けられるでしょうか」と言った。しかし、エリシャは言った。「この人たちに与えて食べさせなさい。はこう言われる。『彼らは食べて残すだろう。』」

4:44 そこで、召使いが彼らに配ると、彼らは食べて残した。のことばのとおりであった。

Ⅱ列王

[ 5 ]

5:1 アラムの王の軍の長ナアマンは、その主君に重んじられ、尊敬されていた。それは、が以前に、彼を通してアラムに勝利を与えられたからであった。この人は勇士であったが、ツァラアトに冒されていた。

5:2 アラムはかつて略奪に出たとき、イスラエルの地から一人の若い娘を捕らえて来ていた。彼女はナアマンの妻に仕えていた。

5:3 彼女は女主人に言った。「もし、ご主人様がサマリアにいる預言者のところに行かれたら、きっと、その方がご主人様のツァラアトを治してくださるでしょう。」

5:4 そこで、ナアマンはその主君のところに行き、イスラエルの地から来た娘がこれこれのことを言いました、と告げた。

5:5 アラムの王は言った。「行って来なさい。私がイスラエルの王に宛てて手紙を送ろう。」そこで、ナアマンは、銀十タラントと金六千シェケルと晴れ着十着を持って出かけた。

5:6 彼はイスラエルの王宛ての次のような手紙を持って行った。「この手紙があなたに届きましたら、家臣のナアマンをあなたのところに送りましたので、彼のツァラアトを治してくださいますように。」

5:7 イスラエルの王はこの手紙を読むと、自分の衣を引き裂いて言った。「私は殺したり、生かしたりすることのできる神であろうか。この人はこの男を送って、ツァラアトを治せと言う。しかし、考えてみよ。彼は私に言いがかりをつけようとしているのだ。」

5:8 神の人エリシャは、イスラエルの王が衣を引き裂いたことを聞くと、王のもとに人を遣わして言った。「あなたはどうして衣を引き裂いたりなさるのですか。その男を私のところによこしてください。そうすれば、彼はイスラエルに預言者がいることを知るでしょう。」

5:9 こうして、ナアマンは馬と戦車でやって来て、エリシャの家の入り口に立った。

5:10 エリシャは、彼に使者を遣わして言った。「ヨルダン川へ行って七回あなたの身を洗いなさい。そうすれば、あなたのからだは元どおりになって、きよくなります。」

5:11 しかしナアマンは激怒して去り、そして言った。「何ということだ。私は、彼がきっと出て来て立ち、彼の神、の名を呼んで、この患部の上で手を動かし、ツァラアトに冒されたこの者を治してくれると思っていた。

5:12 ダマスコの川、アマナやパルパルは、イスラエルのすべての川にまさっているではないか。これらの川で身を洗って、私がきよくなれないというのか。」こうして、彼は憤って帰途についた。

5:13 そのとき、彼のしもべたちが近づいて彼に言った。「わが父よ。難しいことを、あの預言者があなたに命じたのでしたら、あなたはきっとそれをなさったのではありませんか。あの人は『身を洗ってきよくなりなさい』と言っただけではありませんか。」

5:14 そこで、ナアマンは下って行き、神の人が言ったとおりに、ヨルダン川に七回身を浸した。すると彼のからだは元どおりになって、幼子のからだのようになり、きよくなった。

5:15 ナアマンはその一行の者すべてを連れて神の人のところに引き返して来て、彼の前に立って言った。「私は今、イスラエルのほか、全世界のどこにも神はおられないことを知りました。どうか今、あなたのしもべからの贈り物を受け取ってください。」

5:16 神の人は言った。「私が仕えているは生きておられます。私は決して受け取りません。」ナアマンは、受け取らせようとしてしきりに勧めたが、神の人は断った。

5:17 そこでナアマンは言った。「それなら、どうか二頭のらばに載せるだけの土をしもべに与えてください。しもべはこれからはもう、以外のほかの神々に全焼のささげ物やいけにえを献げません。

5:18 どうか、が次のことについてしもべをお赦しくださいますように。私の主君がリンモンの神殿に入って、そこでひれ伏すために私の手を頼みにします。それで私もリンモンの神殿でひれ伏します。私がリンモンの神殿でひれ伏すとき、どうか、がこのことについてしもべをお赦しくださいますように。」

5:19 エリシャは彼に言った。「安心して行きなさい。」そこでナアマンは彼から離れ、かなりの道のりを進んで行った。

5:20 そのとき、神の人エリシャに仕える若者ゲハジはこう考えた。「何としたことか。私の主人は、あのアラム人ナアマンが持って来た物を受け取ろうとはしなかった。は生きておられる。私は彼の後を追いかけて、絶対に何かをもらって来よう。」

5:21 ゲハジはナアマンの後を追いかけて行った。ナアマンは、うしろから駆けて来る者を見つけると、戦車から降りて彼を迎え、「何か変わったことでも」と尋ねた。

5:22 そこで、ゲハジは言った。「変わったことはありませんが、私の主人は私を送り出してこう言っています。『たった今、エフライムの山地から、預言者の仲間の二人の若者が私のところにやって来たので、どうか、銀一タラントと晴れ着二着を彼らに与えてやってください。』」

5:23 するとナアマンは、「ぜひ、二タラントを取ってください」と言ってしきりに勧め、二つの袋に入れた銀二タラントと、晴れ着二着を自分の二人の若者に渡した。そこで彼らはそれを背負ってゲハジの先に立って進んだ。

5:24 ゲハジは丘に着くと、それを二人の者から受け取って家の中にしまい込み、彼らを帰らせたので、彼らは去って行った。

5:25 彼が家に入って主人の前に立つと、エリシャは彼に言った。「ゲハジ。おまえはどこへ行って来たのか。」彼は答えた。「しもべはどこへも行っていません。」

5:26 エリシャは彼に言った。「あの人がおまえを迎えに戦車から降りたとき、私の心はおまえと一緒に歩んでいたではないか。今は金を受け、衣服を受け、オリーブ油やぶどう畑、羊や牛、男女の奴隷を受ける時だろうか。

5:27 ナアマンのツァラアトは、いつまでもおまえとおまえの子孫にまといつく。」ゲハジはツァラアトに冒され、雪のようになって、エリシャの前から去って行った。

Ⅱ列王

[ 6 ]

6:1 預言者の仲間たちがエリシャに、「ご覧のとおり、私たちがあなたと一緒に住んでいるこの場所は狭くなりましたので、

6:2 ヨルダン川に行きましょう。そこから各自一本ずつ梁にする木を切り出して、そこに私たちの住む場所を作りましょう」と言うと、エリシャは「行きなさい」と言った。

6:3 すると一人が、「どうか、ぜひ、しもべたちと一緒に来てください」と言ったので、エリシャは「では、私も行こう」と言って、

6:4 彼らと一緒に出かけた。彼らはヨルダン川に着くと、木を切り倒した。

6:5 一人が梁にする木を切り倒しているとき、斧の頭が水の中に落ちてしまった。彼は叫んだ。「ああ、主よ、あれは借り物です。」

6:6 神の人は言った。「どこに落ちたのか。」彼がその場所を示すと、エリシャは一本の枝を切ってそこに投げ込み、斧の頭を浮かばせた。

6:7 彼が「それを拾い上げなさい」と言ったので、その人は手を伸ばして、それを取り上げた。

6:8 さて、アラムの王がイスラエルと戦っていたとき、彼は家来たちと相談して言った。「これこれの場所に陣を敷こう。」

6:9 そのとき、神の人はイスラエルの王のもとに人を遣わして言った。「あの場所を通らないように注意しなさい。あそこにはアラム人が下って来ますから。」

6:10 イスラエルの王は、神の人が告げたその場所に人を遣わした。神の人が警告すると、王はそこを警戒した。このようなことは一度や二度ではなかった。

6:11 このことで、アラムの王の心は激しく動揺した。彼は家来たちを呼んで言った。「われわれのうちのだれがイスラエルの王と通じているのか、おまえたちは私に告げないのか。」

6:12 すると家来の一人が言った。「いいえ、わが主、王よ。イスラエルにいる預言者エリシャが、あなたが寝室の中で語られることばまでもイスラエルの王に告げているのです。」

6:13 王は言った。「行って、彼がどこにいるかを突き止めよ。人を遣わして、彼を捕まえよう。」そのうちに、「今、彼はドタンにいる」という知らせが王にもたらされた。

6:14 そこで、王は馬と戦車と大軍をそこに送った。彼らは夜のうちに来て、その町を包囲した。

6:15 神の人の召使いが、朝早く起きて外に出ると、なんと、馬と戦車の軍隊がその町を包囲していた。若者がエリシャに、「ああ、ご主人様。どうしたらよいのでしょう」と言った。

6:16 すると彼は、「恐れるな。私たちとともにいる者は、彼らとともにいる者よりも多いのだから」と言った。

6:17 そして、エリシャは祈ってに願った。「どうか、彼の目を開いて、見えるようにしてください。」がその若者の目を開かれたので、彼が見ると、なんと、火の馬と戦車がエリシャを取り巻いて山に満ちていた。

6:18 アラム人がエリシャに向かって下って来たとき、彼はに祈って言った。「どうか、この民を打って目をくらませてください。」そこで主はエリシャのことばのとおり、彼らを打って目をくらまされた。

6:19 エリシャは彼らに言った。「こちらの道でもない。あちらの町でもない。私について来なさい。あなたがたの捜している人のところへ連れて行ってあげよう。」こうして、彼らをサマリアへ連れて行った。

6:20 彼らがサマリアに着くと、エリシャは言った。「よ、この者たちの目を開いて、見えるようにしてください。」が彼らの目を開き、彼らが見ると、なんと、自分たちはサマリアの真ん中に来ていた。

6:21 イスラエルの王は彼らを見て、エリシャに言った。「私が打ち殺しましょうか。私が打ち殺しましょうか。わが父よ。」

6:22 エリシャは言った。「打ち殺してはなりません。あなたは、捕虜にした者を自分の剣と弓で打ち殺しますか。彼らにパンと水を与え、食べたり飲んだりさせて、彼らの主君のもとに行かせなさい。」

6:23 そこで、王は彼らのために盛大なもてなしをして、彼らが食べたり飲んだりした後、彼らを帰した。こうして彼らは自分たちの主君のもとに戻って行った。それ以来、アラムの略奪隊は二度とイスラエルの地に侵入しなかった。

6:24 この後、アラムの王ベン・ハダドは全軍を召集し、サマリアに上って来て、これを包囲した。

6:25 サマリアには大飢饉が起こっていて、また彼らが包囲していたので、ろばの頭一つが銀八十シェケルで売られ、鳩の糞一カブの四分の一が銀五シェケルで売られるようになった。

6:26 イスラエルの王が城壁の上を通りかかると、一人の女が彼に叫んだ。「わが主、王よ。お救いください。」

6:27 王は言った。「があなたを救わないのなら、どのようにして、私があなたを救うことができるだろうか。打ち場の物をもってか。それとも、踏み場の物をもってか。」

6:28 それから王は彼女に尋ねた。「いったい、どうしたというのか。」彼女は答えた。「この女が私に『あなたの子どもをよこしなさい。私たちは今日、それを食べて、明日は私の子どもを食べましょう』と言ったのです。

6:29 それで私たちは、私の子どもを煮て食べました。その翌日、私は彼女に『さあ、あなたの子どもをよこしなさい。私たちはそれを食べましょう』と言ったのですが、彼女は自分の子どもを隠してしまったのです。」

6:30 王はこの女の言うことを聞くと、自分の衣を引き裂いた。彼は城壁の上を通っていたので、民が見ると、なんと、王は衣の下に粗布を着ていた。

6:31 彼は言った。「今日、シャファテの子エリシャの首が彼の上についていれば、神がこの私を幾重にも罰せられますように。」

6:32 エリシャは自分の家に座っていて、長老たちも彼と一緒に座っていた。王は一人の者を自分のもとから遣わした。しかし、その使者がエリシャのところに着く前に、エリシャは長老たちに言った。「あの人殺しが、私の首をはねに人を遣わしたのを知っていますか。気をつけなさい。使者が来たら戸を閉め、戸を押しても入れないようにしなさい。そのうしろに、彼の主君の足音がするではありませんか。」

6:33 彼がまだ彼らと話しているうちに、使者が彼のところに下って来て言った。「見よ、これはからのわざわいだ。これ以上、私は何をに期待しなければならないのか。」

Ⅱ列王

[ 7 ]

7:1 エリシャは言った。「のことばを聞きなさい。はこう言われる。『明日の今ごろ、サマリアの門で、上等の小麦粉一セアが一シェケルで、大麦二セアが一シェケルで売られるようになる。』」

7:2 しかし、侍従で、王が頼みにしていた者が、神の人に答えて言った。「たとえが天に窓を作られたとしても、そんなことがあるだろうか。」そこで、エリシャは言った。「確かに、あなたは自分の目でそれを見るが、それを食べることはできない。」

7:3 さて、ツァラアトに冒された四人の人が、町の門の入り口にいた。彼らは互いに言った。「われわれはどうして死ぬまでここに座っていなければならないのか。

7:4 たとえ町に入ろうと言ったところで、町は食糧難だから、われわれはそこで死ななければならない。ここに座っていても死ぬだけだ。さあ今、アラムの陣営に入り込もう。もし彼らがわれわれを生かしておいてくれるなら、われわれは生き延びられる。もし殺すなら、そのときは死ぬまでのことだ。」

7:5 こうして、彼らはアラムの陣営に行こうと、夕暮れになって立ち上がり、アラムの陣営の端まで来た。すると、なんと、そこにはだれもいなかった。

7:6 これは、主がアラムの陣営に、戦車の響き、馬のいななき、大軍勢の騒ぎを聞かせたので、彼らが口々に「見よ。イスラエルの王が、ヒッタイト人の王たち、エジプトの王たちを雇って、われわれを襲って来る」と言い、

7:7 夕暮れに立って逃げ、自分たちの天幕や馬やろば、陣営をそのまま置き去りにして、いのちからがら逃げ去ったからであった。

7:8 ツァラアトに冒されたこの人たちは、陣営の端に来て、一つの天幕に入って食べたり飲んだりし、そこから銀や金や衣服を持ち出して隠した。また戻って来てはほかの天幕に入り、そこからも持ち出して隠した。

7:9 彼らは互いに言った。「われわれのしていることは正しくない。今日は良い知らせの日なのに、われわれはためらっている。もし明け方まで待っていたら、罰を受けるだろう。さあ、行こう。行って王の家に知らせよう。」

7:10 彼らは町に入って門衛を呼び、彼らに告げた。「われわれがアラムの陣営に入ってみると、なんとそこにはだれの姿もなく、人の声もありませんでした。ただ、馬やろばがつながれたままで、天幕もそっくりそのままでした。」

7:11 そこで門衛たちは叫んで、門内の王の家に告げた。

7:12 王は夜中に起きて家来たちに言った。「アラム人がわれわれに対して謀ったことをおまえたちに教えよう。彼らはわれわれが飢えているのを知っているので、陣営から出て行って野に隠れ、『イスラエル人が町から出たら生け捕りにし、それから町に押し入ろう』と考えているのだ。」

7:13 すると、家来の一人が答えた。「それでは、だれかにこの町に残っている馬の中から五頭を取らせ、遣わして調べさせてみましょう。どうせ、この町に残っているイスラエルのすべての民衆も、すでに滅んだイスラエルのすべての民衆と同じ目にあうのですから。」

7:14 彼らが二台分の戦車の馬を取ると、王は「行って確かめて来い」と命じて、アラムの軍勢を追わせた。

7:15 彼らはアラム人を追って、ヨルダン川まで行った。ところが、なんと、道はいたるところ、アラム人が慌てて逃げるときに捨てていった衣服や武具でいっぱいであった。使者たちは帰って来て、このことを王に報告した。

7:16 そこで、民は出て行ってアラムの陣営をかすめ奪ったので、のことばのとおり、上等の小麦粉一セアが一シェケルで、大麦二セアが一シェケルで売られた。

7:17 王は例の侍従、頼みにしていた侍従を門の管理に当たらせたが、民が門で彼を踏みつけたので、彼は死んだ。王が神の人のところに下って行ったときに、神の人が告げたことばのとおりであった。

7:18 かつて神の人が王に、「明日の今ごろ、サマリアの門で、大麦二セアが一シェケルで、上等の小麦粉一セアが一シェケルで売られるようになる」と言ったときに、

7:19 侍従は神の人に答えて、「たとえが天に窓を作られるにしても、そんなことがあるだろうか」と言った。そこで、エリシャは「確かに、あなたは自分の目でそれを見るが、それを食べることはできない」と言った。

7:20 そのとおりのことが彼に実現した。民が門で彼を踏みつけたので、彼は死んだ。

Ⅱ列王

[ 8 ]

8:1 エリシャは、かつて子どもを生き返らせてやったあの女に言った。「あなたは家族の者たちと一緒にここを去り、とどまりたいところに、しばらく寄留していなさい。が飢饉を起こされたので、この国は七年間、飢えに見舞われるから。」

8:2 この女は神の人のことばにしたがって出発し、家族を連れてペリシテ人の地に行き、七年間滞在した。

8:3 七年たった後、彼女はペリシテ人の地から戻って来て、自分の家と畑を得ようと王に訴え出た。

8:4 そのころ、王は神の人に仕える若者ゲハジに、「エリシャが行った大いなるわざを、残らず私に聞かせてくれ」と話していた。

8:5 彼が王に、死人を生き返らせたあの出来事を話していると、ちょうどそこに、子どもを生き返らせてもらった女が、自分の家と畑のことについて王に訴えに来た。ゲハジは言った。「王様、これがその女です。そしてこれが、エリシャが生き返らせた子どもです。」

8:6 王が彼女に尋ねると、彼女は王にそのことを話した。すると王は彼女のために、一人の宦官に「彼女のすべての物と、彼女がこの地を離れた日から今日までの畑の収穫のすべてを、返してやりなさい」と命じたのであった。

8:7 さて、エリシャがダマスコに行ったとき、アラムの王ベン・ハダドは病気であった。すると彼に「神の人がここまで来ている」という知らせがあった。

8:8 王はハザエルに言った。「贈り物を持って行って、神の人を迎え、私のこの病気が治るかどうか、あの人を通してのみこころを求めてくれ。」

8:9 そこで、ハザエルはダマスコのあらゆる良い物をらくだ四十頭に載せて、贈り物として携え、神の人を迎えに行った。彼は神の人の前に来て立ち、こう言った。「あなたの子、アラムの王ベン・ハダドが、『この病気は治るであろうか』と言って、あなたのところへ私を遣わしました。」

8:10 エリシャは彼に言った。「行って、『あなたは必ず治る』と彼に告げなさい。しかし、は私に、彼が必ず死ぬことも示された。」

8:11 神の人は、彼が恥じるほどじっと彼を見つめ、そして泣き出したので、

8:12 ハザエルは尋ねた。「ご主人様はなぜ泣くのですか。」エリシャは答えた。「私は、あなたがイスラエル人に害を加えようとしていることを知っているからだ。あなたはイスラエル人の要塞に火を放ち、その若い男たちを剣で切り殺し、幼子たちを八つ裂きにし、妊婦たちを切り裂くだろう。」

8:13 ハザエルは言った。「しもべは犬にすぎないのに、どうして、そんな大それたことができるでしょう。」しかし、エリシャは言った。「は私に、あなたがアラムの王になると示されたのだ。」

8:14 彼はエリシャのもとを去り、自分の主君のところに帰った。王が彼に、「エリシャはあなたに何と言ったか」と尋ねると、彼は「あなたは必ず治ると言いました」と答えた。

8:15 しかし、翌日、ハザエルは厚い布を取って水に浸し、王の顔にかぶせたので、王は死んだ。こうして、ハザエルは彼に代わって王となった。

8:16 イスラエルの王アハブの子ヨラムの第五年、ヨシャファテがまだユダの王であったとき、ユダの王ヨシャファテの子ヨラムが王として治めるようになった。

8:17 彼は三十二歳で王となり、エルサレムで八年間、王であった。

8:18 彼はアハブの家の者がしたように、イスラエルの王たちの道に歩んだ。アハブの娘が彼の妻だったからである。彼はの目に悪であることを行った。

8:19 しかし、はそのしもべダビデに免じて、ユダを滅ぼすことを望まれなかった。主はダビデとその子孫に常にともしびを与えると彼に約束されたからである。

8:20 ヨラムの時代に、エドムが背いてユダの支配から脱し、自分たちの上に王を立てた。

8:21 ヨラムは、すべての戦車を率いてツァイルへ渡って行き、夜襲を試みて、彼を包囲していたエドムと戦車隊長たちを討った。ところが、ヨラムの兵たちは自分たちの天幕に逃げ帰った。

8:22 エドムは背いてユダの支配から脱した。今日もそうである。リブナもそのときに背こうとした。

8:23 ヨラムについてのその他の事柄、彼が行ったすべてのこと、それは『ユダの王の歴代誌』に確かに記されている。

8:24 ヨラムは先祖とともに眠りにつき、先祖とともにダビデの町に葬られた。彼の子アハズヤが代わって王となった。

8:25 イスラエルの王アハブの子ヨラムの第十二年に、ユダの王ヨラムの子アハズヤが王となった。

8:26 アハズヤは二十二歳で王となり、エルサレムで一年間、王であった。彼の母の名はアタルヤといい、イスラエルの王オムリの孫娘であった。

8:27 彼はアハブの家の道に歩み、アハブの家に倣っての目の前に悪であることを行った。彼自身、アハブ家の婿だったからである。

8:28 彼はアハブの子ヨラムとともに、アラムの王ハザエルと戦うため、ラモテ・ギルアデに行った。アラム人はヨラムを討った。

8:29 ヨラム王は、アラムの王ハザエルと戦ったときにラマでアラム人に負わされた傷を癒やすため、イズレエルに帰った。ユダの王ヨラムの子アハズヤは、アハブの子ヨラムが弱っていたので、彼を見舞いにイズレエルに下って行った。

Ⅱ列王

[ 9 ]

9:1 預言者エリシャは預言者の仲間たちの一人を呼んで言った。「腰に帯を締め、手にこの油の壺を持って、ラモテ・ギルアデに行きなさい。

9:2 そこに行ったら、ニムシの子ヨシャファテの子エフーを見つけなさい。家に入って、その同僚たちの中から彼を立たせ、奥の間に連れて行き、

9:3 油の壺を取って、彼の頭の上に油を注いで言いなさい。『はこう言われる。わたしはあなたに油を注いでイスラエルの王とする。』それから、戸を開け、ぐずぐずしていないで逃げなさい。」

9:4 その若者、預言者に仕える若者は、ラモテ・ギルアデに行った。

9:5 彼が来てみると、ちょうど、軍の高官たちが会議中であった。彼は言った。「隊長、申し上げることがございます。」エフーは言った。「このわれわれのうちのだれにか。」若者は「隊長、あなたにです」と答えた。

9:6 エフーは立って、家に入った。そこで若者は油をエフーの頭に注いで言った。「イスラエルの神、はこう言われる。『わたしはあなたに油を注いで、の民イスラエルの王とする。

9:7 あなたは、主君アハブの家の者を打ち殺さなければならない。こうしてわたしは、わたしのしもべである預言者たちの血、イゼベルによって流されたすべてののしもべたちの血の復讐をする。

9:8 それでアハブの家はことごとく滅び失せる。わたしは、イスラエルの中の、アハブに属する小童から奴隷や自由の者に至るまでを絶ち滅ぼし、

9:9 アハブの家をネバテの子ヤロブアムの家のように、またアヒヤの子バアシャの家のようにする。

9:10 犬がイズレエルの地所でイゼベルを食らい、彼女を葬る者はだれもいない。』」こう言って、彼は戸を開けて逃げた。

9:11 エフーが彼の主君の家来たちのところに出て来ると、一人が彼に尋ねた。「何事もなかったのですか。あの気のふれた者は何のために来たのですか。」すると、エフーは彼らに答えた。「あなたたちは、あの男も、あの男の言ったこともよく知っているはずだ。」

9:12 彼らは言った。「嘘でしょう。われわれに教えてください。」そこで、彼は答えた。「あの男は私にこんなことを言った。『はこう言われる。わたしはあなたに油を注いで、イスラエルの王とする』と。」

9:13 すると、彼らはみな大急ぎで自分の上着を脱ぎ、入り口の階段にいた彼の足もとに敷き、角笛を吹き鳴らして、「エフーは王である」と言った。

9:14 こうして、ニムシの子ヨシャファテの子エフーは、ヨラムに対して謀反を起こした。先にヨラムはイスラエル全軍を率いて、ラモテ・ギルアデでアラムの王ハザエルを防いだが、

9:15 ヨラム王は、アラムの王ハザエルと戦ったときにアラム人に負わされた傷を癒やすため、イズレエルに帰っていたのである。エフーは言った。「もし、これがあなたたちの本心であるなら、だれもこの町から逃れ出て、イズレエルに知らせに行ってはならない。」

9:16 それからエフーは車に乗ってイズレエルへ行った。ヨラムがそこで床についていて、ユダの王アハズヤもヨラムを見舞いに下っていたからである。

9:17 イズレエルのやぐらの上に、一人の見張りが立っていたが、エフーの軍勢がやって来るのを見て、「軍勢が見える」と言った。ヨラムは、「騎兵一人を選んで彼らを迎えに送り、元気かどうか尋ねさせなさい」と言った。

9:18 そこで、騎兵は彼を迎えに行き、こう言った。「王が、元気かどうか尋ねておられます。」エフーは言った。「元気かどうか、おまえの知ったことではない。私のうしろについて来い。」一方、見張りは報告して言った。「使者は彼らのところに着きましたが、帰って来ません。」

9:19 そこでヨラムは、もう一人の騎兵を送った。彼は彼らのところに行って言った。「王が、元気かどうか尋ねておられます。」すると、エフーは言った。「元気かどうか、おまえの知ったことではない。私のうしろについて来い。」

9:20 見張りはまた報告した。「あれは彼らのところに着きましたが、帰って来ません。しかし、車の御し方は、ニムシの子エフーの御し方に似ています。狂ったように御しています。」

9:21 ヨラムは「馬をつけよ」と命じた。馬が戦車につけられると、イスラエルの王ヨラムとユダの王アハズヤは、それぞれ自分の戦車に乗って出て行った。彼らはエフーを迎えに出て行き、イズレエル人ナボテの所有地で彼に出会った。

9:22 ヨラムはエフーを見ると、「エフー、元気か」と尋ねた。エフーは答えた。「何が元気か。あなたの母イゼベルの姦淫と呪術が盛んに行われているのに。」

9:23 それでヨラムは手綱を返して逃げ、アハズヤに「裏切りだ、アハズヤ」と叫んだ。

9:24 エフーは力いっぱい弓を引き絞り、ヨラムの胸を射た。矢は彼の心臓を射抜いたので、彼は戦車の中に崩れ落ちた。

9:25 エフーは侍従のビデカルに命じた。「彼を運んで、イズレエル人ナボテの所有地であった畑に投げ捨てよ。思い起こすがよい。私とあなたが馬に乗って彼の父アハブの後に並んで従って行ったときに、が彼についてこの宣告を下されたことを。

9:26 『わたしは、昨日、ナボテの血とその子たちの血を確かに見届けた──のことば──。わたしは、この地所であなたに報復する──のことば。』それで今、彼を運んで、が語られたとおり、あの地所に彼を投げ捨てよ。」

9:27 ユダの王アハズヤはこれを見ると、ベテ・ハ・ガンの道へ逃げた。エフーはその後を追いかけて、「あいつも討ち取れ」と叫んだので、彼らはイブレアムのそばのグルの坂道で、車の上の彼に傷を負わせた。それでも彼はメギドに逃げたが、そこで死んだ。

9:28 彼の家来たちは彼を車に乗せて、エルサレムに運び、ダビデの町の彼の墓に先祖とともに葬った。

9:29 アハズヤはアハブの子ヨラムの第十一年に、ユダの王となっていた。

9:30 エフーがイズレエルに来たとき、イゼベルはこれを聞いて、目の縁を塗り、髪を結い直して、窓から見下ろしていた。

9:31 エフーが門に入って来たので、彼女は「お元気ですか。主君殺しのジムリ」と言った。

9:32 彼は窓を見上げて、「だれか私にくみする者はいないか。だれかいないか」と言った。二、三人の宦官が彼を見下ろしていたので、

9:33 彼が「その女を突き落とせ」と言うと、彼らは彼女を突き落とし、彼女の血が壁や馬にはねかかった。エフーは彼女を踏みつけた。

9:34 彼は中に入って食べたり飲んだりし、それから言った。「あののろわれた女の世話をしてやれ。彼女を葬ってやれ。あれは王の娘だから。」

9:35 彼らが彼女を葬りに行ってみると、彼女の頭蓋骨と両足と両手首しか残っていなかったので、

9:36 帰って来てエフーにこのことを知らせた。するとエフーは言った。「これは、がそのしもべティシュベ人エリヤによって語られたことばのとおりだ。『イズレエルの地所で犬がイゼベルの肉を食らい、

9:37 イゼベルの死体は、イズレエルの地所で畑の上にまかれた肥やしのようになり、だれもこれがイゼベルだと言えなくなる。』」

Ⅱ列王

[ 10 ]

10:1 アハブにはサマリアに七十人の子どもがあった。エフーは手紙を書いてサマリアに送り、イズレエルの長たちや長老たち、および、アハブの子の養育係たちにこう伝えた。

10:2 「この手紙が届いたら、あなたがたのところに、あなたがたの主君の子どもたちがいて、戦車や馬も、城壁のある町や武器も、あなたがたのところにあるのだから、すぐ、

10:3 あなたがたの主君の子どもの中から最も善良で真っ直ぐな人物を選んで、その父の王座に就かせ、あなたがたの主君の家のために戦え。」

10:4 彼らは非常に恐れて言った。「二人の王たちでさえ、彼に当たることができなかったのに、どうしてこのわれわれが当たることができるだろうか。」

10:5 そこで、宮廷長官、町のつかさ、長老たち、および養育係たちは、エフーに人を送って言った。「私どもはあなたのしもべです。あなたが私どもにお命じになることは何でもいたしますが、だれも王に立てるつもりはありません。あなたのお気に召すようにしてください。」

10:6 エフーは再び彼らに手紙を書いてこう言った。「もしあなたがたが私に味方し、私の声に聞くのなら、あなたがたの主君の子どもたちの首を取り、明日の今ごろ、イズレエルの私のもとに持って来るように。」そのころ、王の子どもたち七十人は、彼らを養育していた町のおもだった人たちのもとにいた。

10:7 その手紙が彼らに届くと、彼らは王の子どもたちを捕らえ、その七十人を切り殺し、その首をいくつかのかごに入れ、それをイズレエルのエフーのもとに送り届けた。

10:8 使者が来て、「彼らは王の子どもたちの首を持って参りました」とエフーに報告した。すると彼は、「それを二つに分けて積み重ね、朝まで門の入り口に置いておけ」と命じた。

10:9 朝になるとエフーは出て行き、立ってすべての民に言った。「あなたたちに罪はない。聞きなさい。私が主君に対して謀反を起こして、彼を殺したのだ。しかし、これらの者を皆殺しにしたのはだれか。

10:10 だから知れ。がアハブの家について告げられたのことばは一つも地に落ちないことを。は、そのしもべエリヤによってお告げになったことをなされたのだ。」

10:11 エフーは、アハブの家に属する者でイズレエルに残っていたすべての者、身分の高い者、親しい者、その祭司たちをみな打ち殺し、一人も生き残る者がないまでにした。

10:12 それから、エフーは立ってサマリアへ行った。その途中、羊飼いのベテ・エケデというところで、

10:13 エフーはユダの王アハズヤの身内の者たちに出会った。彼が「おまえたちはだれか」と聞くと、彼らは、「私たちはアハズヤの身内の者です。王の子どもたちと、王母の子どもたちの安否を尋ねに下って来ました」と答えた。

10:14 エフーが「彼らを生け捕りにせよ」と言ったので、人々は彼らを生け捕りにした。そして、ベテ・エケデの水溜め場で彼ら四十二人を殺し、一人も残さなかった。

10:15 彼がそこを去って行くと、彼を迎えに来たレカブの子ヨナダブに出会った。エフーは彼にあいさつして言った。「あなたの心は、私の心があなたの心に対してそうであるように、真っ直ぐですか。」ヨナダブは、「そうです」と答えた。「そうなら、こちらに手を伸ばしなさい。」ヨナダブが手を差し出すと、エフーは彼を戦車の上に引き上げて、

10:16 「私と一緒に来て、に対する私の熱心さを見なさい」と言った。エフーは彼を自分の戦車に乗せて、

10:17 サマリアに行った。エフーは、アハブに属する者でサマリアに残っていた者を皆殺しにし、その一族を根絶やしにした。がエリヤにお告げになったことばのとおりであった。

10:18 エフーはすべての民を集めて、彼らに言った。「アハブは少ししかバアルに仕えなかったが、エフーは大いに仕えるつもりだ。

10:19 だから今、バアルの預言者や、その信者、およびその祭司たちをみな、私のところに呼び寄せよ。一人も欠けてはならない。私は大いなるいけにえをバアルに献げるつもりである。列席しない者は、だれも生かしてはおかない。」エフーは、バアルの信者たちを滅ぼすために、策略をめぐらしたのである。

10:20 エフーが、「バアルのためにきよめの集会を催せ」と命じると、彼らはこれを布告した。

10:21 エフーが全イスラエルに人を遣わしたので、バアルの信者たちがみなやって来た。残っていて、来なかった者は一人もいなかった。彼らがバアルの神殿に入ると、バアルの神殿は端から端までいっぱいになった。

10:22 エフーが衣装係に、「バアルの信者すべてに祭服を出してやれ」と命じたので、彼らのために祭服を取り出した。

10:23 エフーとレカブの子ヨナダブは、バアルの神殿に入り、バアルの信者たちに言った。「よく見回して、ここにはのしもべがあなたがたと一緒に一人もおらず、ただバアルの信者たちだけがいるようにせよ。」

10:24 こうして彼らは、いけにえと全焼のささげ物を献げる準備をした。エフーは八十人の者を神殿の外に配置して言った。「私がおまえたちの手に渡す者を一人でも逃す者があれば、そのいのちを、逃れた者のいのちに代える。」

10:25 全焼のささげ物を献げ終えたとき、エフーは近衛兵と侍従たちに言った。「入って行って、彼らを討ち取れ。一人も外に出すな。」そこで、近衛兵と侍従たちは剣の刃で彼らを討って投げ捨て、バアルの神殿の奥の間にまで踏み込んだ。

10:26 そして、バアルの神殿の石の柱を運び出して、これを焼き、

10:27 バアルの石の柱を打ち壊し、バアルの神殿も打ち壊し、これを便所とした。それは今日まで残っている。

10:28 このようにして、エフーはバアルをイスラエルから根絶やしにした。

10:29 ただしエフーは、イスラエルに罪を犯させたネバテの子ヤロブアムの罪、すなわち、ベテルとダンにあった金の子牛に仕えることから離れようとはしなかった。

10:30 はエフーに言われた。「あなたはわたしの目にかなったことをよくやり遂げ、アハブの家に対して、わたしが心に定めたことをことごとく行ったので、あなたの子孫は四代目まで、イスラエルの王座に就く。」

10:31 しかしエフーは、心を尽くしてイスラエルの神、の律法に歩もうと心がけることをせず、イスラエルに罪を犯させたヤロブアムの罪から離れなかった。

10:32 そのころ、はイスラエルを少しずつ削り始めておられた。ハザエルがイスラエルの全領土で彼らを打ち破ったのである。

10:33 すなわち、ヨルダン川の東側、ガド人、ルベン人、マナセ人のギルアデ全土、つまり、アルノン川のほとりにあるアロエルからギルアデ、バシャンの地方にまで及んだ。

10:34 エフーについてのその他の事柄、彼が行ったすべてのこと、彼のすべての功績、それは『イスラエルの王の歴代誌』に確かに記されている。

10:35 エフーは先祖とともに眠りにつき、人々は彼をサマリアに葬った。彼の子エホアハズが代わって王となった。

10:36 エフーがサマリアでイスラエルの王であった期間は二十八年であった。

Ⅱ列王

[ 11 ]

11:1 アハズヤの母アタルヤは、自分の子が死んだと知ると、ただちに王の一族全員を滅ぼした。

11:2 しかし、ヨラム王の娘で、アハズヤの姉妹のエホシェバは、殺される王の子たちの中からアハズヤの子ヨアシュをこっそり連れ出し、寝具をしまう小部屋にその子とその乳母を入れた。人々が彼をアタルヤから隠したので、彼は殺されなかった。

11:3 彼は乳母とともに、の宮に六年間、身を隠していた。その間、アタルヤが国を治めていた。

11:4 七年目に、エホヤダは人を遣わして、カリ人と近衛兵それぞれの百人隊の長たちをの宮の自分のもとに来させ、彼らと契約を結んでの宮で彼らに誓いを立てさせ、彼らに王の子を見せた。

11:5 彼は命じた。「あなたがたのなすべきことはこうだ。あなたがたのうちの三分の一は、安息日に務めに当たり、王宮の護衛の任務につく。

11:6 三分の一はスルの門に、もう三分の一は近衛兵舎の裏の門にいるように。あなたがたは交互に王宮の護衛の任務につく。

11:7 あなたがたのうち二組は、みな安息日に務めに当たらない者であるが、の宮で王の護衛の任務につかなければならない。

11:8 それぞれ武器を手にして王の周りを囲め。その列を侵す者は殺されなければならない。あなたがたは、王が出るときにも入るときにも、王とともにいなさい。」

11:9 百人隊の長たちは、すべて祭司エホヤダが命じたとおりに行った。彼らは、それぞれ自分の部下たちを、安息日に務めに当たる者も、安息日に務めに当たらない者も、祭司エホヤダのところに連れて来た。

11:10 祭司は百人隊の長たちに、の宮にあったダビデ王の槍と丸い小盾を与えた。

11:11 近衛兵たちはそれぞれ武器を手にして、神殿の右側から神殿の左側まで、祭壇と神殿に向かって王の周りに立った。

11:12 エホヤダは王の子を連れ出し、王冠をかぶらせ、さとしの書を渡した。こうして人々は彼を王と宣言し、彼に油を注ぎ、手をたたいて「王様万歳」と叫んだ。

11:13 アタルヤは近衛兵と民の声を聞いて、の宮の民のところに行った。

11:14 彼女が見ると、なんと、王が定めのとおりに柱のそばに立っていた。王の傍らに隊長たちやラッパ奏者たちがいて、民衆がみな喜んでラッパを吹き鳴らしていた。アタルヤは自分の衣を引き裂き、「謀反だ、謀反だ」と叫んだ。

11:15 祭司エホヤダは、部隊を委ねられた百人隊の長たちに命じた。「この女を列の間から連れ出せ。この女に従って来る者は剣で殺せ。」祭司が「この女はの宮で殺されてはならない」と言ったからである。

11:16 彼らは彼女を取り押さえた。彼女が馬の出入り口を通って王宮に着くと、彼女はそこで殺された。

11:17 エホヤダは、と、王および民との間で、彼らがの民となるという契約を結ばせ、王と民との間でも契約を結ばせた。

11:18 民衆はみなバアルの神殿に行って、それを打ち壊した。彼らはその祭壇と像を徹底的に打ち砕き、バアルの祭司マタンを祭壇の前で殺した。祭司エホヤダはの宮に管理人を置いた。

11:19 彼は百人隊の長たち、カリ人、近衛兵たちと民衆すべてを率いた。彼らは王をの宮から連れて下り、近衛兵の門を通って王宮に入った。王は王の座に着いた。

11:20 民衆はみな喜んだ。アタルヤは王宮で剣で殺され、この町は平穏となった。

11:21 ヨアシュは七歳で王となった。

Ⅱ列王

[ 12 ]

12:1 ヨアシュはエフーの第七年に王となり、エルサレムで四十年間、王であった。彼の母の名はツィブヤといい、ベエル・シェバ出身であった。

12:2 ヨアシュは、祭司エホヤダが彼を教えた間、いつもの目にかなうことを行った。

12:3 ただし、高き所は取り除かれなかった。民はなおも、その高き所でいけにえを献げたり、犠牲を供えたりしていた。

12:4 ヨアシュは祭司たちに言った。「の宮に献げられる、聖別された金のすべて、すなわち、それぞれに割り当てを課せられた金や、自発的にの宮に献げられる金のすべては、

12:5 祭司たちが、それぞれ自分の担当する者から受け取りなさい。神殿のどこかが破損していれば、その破損の修繕にそれを充てなければならない。」

12:6 しかし、ヨアシュ王の第二十三年になっても、祭司たちは神殿の破損を修理しなかった。

12:7 ヨアシュ王は、祭司エホヤダと祭司たちを呼んで、彼らに言った。「なぜ、神殿の破損を修理しないのか。もう、あなたがたは、自分の担当する者たちから金を受け取ってはならない。神殿の破損にそれを充てなければならないからだ。」

12:8 祭司たちは、民から金を受け取らないことと、神殿の破損の修理に責任を持たないことに同意した。

12:9 祭司エホヤダは、一つの箱を取り、そのふたに穴を開け、それを祭壇のわき、の宮の入り口の右側に置いた。こうして、入り口を守る祭司たちは、の宮に納められる金をみな、そこに入れた。

12:10 箱の中に金が多くなるのを確認すると、王の書記と大祭司は上って来て、それを袋に入れ、の宮に納められている金を計算した。

12:11 こうして、勘定された金は、の宮で工事をしている監督者たちの手に渡された。彼らは、それをの宮を造る木工と建築する者たち、

12:12 石工、石切り工に支払い、また、の宮の破損修理のための木材や切り石を買うために支払った。つまり、金は神殿修理のための出費のすべてに充てられた。

12:13 ただし、の宮のための銀の皿、芯取りばさみ、鉢、ラッパなど、いかなる金の用具、銀の用具も、の宮に納められる金で作られることはなかった。

12:14 その金は、工事する者たちに渡され、彼らはそれと引き替えにの宮を修理したからである。

12:15 また、工事する者に支払うように金を渡した人々が精算を求められることはなかった。彼らが忠実に働いていたからである。

12:16 代償のささげ物の金と、罪のきよめのささげ物の金は、の宮に納められず、祭司たちのものとなった。

12:17 そのとき、アラムの王ハザエルが上って来てガテを攻め、これを取った。さらに、ハザエルはエルサレムを目指して攻め上った。

12:18 ユダの王ヨアシュは、自分の先祖であるユダの王ヨシャファテ、ヨラム、アハズヤが聖別して献げたすべての物、および自分自身が聖別して献げた物、の宮と王宮の宝物倉にあるすべての金を取って、アラムの王ハザエルに送った。するとハザエルはエルサレムから去って行った。

12:19 ヨアシュについてのその他の事柄、彼が行ったすべてのこと、それは『ユダの王の歴代誌』に確かに記されている。

12:20 ヨアシュの家来たちは立ち上がって謀反を起こし、シラに下って行くヨアシュをベテ・ミロで打ち殺した。

12:21 彼の家来シムアテの子ヨザバデとショメルの子エホザバデが彼を討ったので、彼は死んだ。人々は彼をダビデの町に先祖とともに葬った。彼の子アマツヤが代わって王となった。

Ⅱ列王

[ 13 ]

13:1 ユダの王アハズヤの子ヨアシュの第二十三年に、エフーの子エホアハズがサマリアでイスラエルの王となり、十七年間、王であった。

13:2 彼はの目に悪であることを行い、イスラエルに罪を犯させたネバテの子ヤロブアムの罪を犯し続け、それから離れなかった。

13:3 そのため、の怒りがイスラエルに向かって燃え上がり、主は彼らをアラムの王ハザエル、および、ハザエルの子ベン・ハダドの手に絶えず渡しておられた。

13:4 しかし、エホアハズがに願ったので、はこれを聞き入れられた。アラムの王の虐げによって、イスラエルが虐げられているのをご覧になったからである。

13:5 がイスラエルに一人の救う者を与えられたので、彼らはアラムの支配を脱した。こうしてイスラエル人は以前のように、自分たちの天幕に住むようになった。

13:6 それにもかかわらず、彼らは、イスラエルに罪を犯させたヤロブアム家の罪から離れず、なおそれを行い続け、アシェラ像もサマリアに立ったままであった。

13:7 また、アラムの王が彼らを滅ぼして、打穀のときのちりのようにしたので、エホアハズには騎兵五十、戦車十、歩兵一万の軍隊しか残されていなかった。

13:8 エホアハズについてのその他の事柄、彼が行ったすべてのこと、その功績、それは『イスラエルの王の歴代誌』に確かに記されている。

13:9 エホアハズは先祖とともに眠りにつき、人々は彼をサマリアに葬った。彼の子ヨアシュが代わって王となった。

13:10 ユダの王ヨアシュの第三十七年に、エホアハズの子ヨアシュがサマリアでイスラエルの王となり、十六年間、王であった。

13:11 彼はの目に悪であることを行い、イスラエルに罪を犯させたネバテの子ヤロブアムのすべての罪から離れず、なおそれを行い続けた。

13:12 ヨアシュについてのその他の事柄、彼が行ったすべてのこと、ユダの王アマツヤと戦ったその功績、それは『イスラエルの王の歴代誌』に確かに記されている。

13:13 ヨアシュは先祖とともに眠りにつき、ヤロブアムがその王座に就いた。ヨアシュはイスラエルの王たちとともにサマリアに葬られた。

13:14 エリシャが死の病をわずらっていたときのことである。イスラエルの王ヨアシュは、彼のところに下って行き、彼の上に泣き伏して、「わが父、わが父。イスラエルの戦車と騎兵たち」と叫んだ。

13:15 エリシャが王に「弓と矢を持って来なさい」と言ったので、王は弓と矢をエリシャのところに持って来た。

13:16 エリシャはイスラエルの王に「弓に手をかけなさい」と言ったので、王は手をかけた。すると、エリシャは自分の手を王の手の上に置いて、

13:17 「東側の窓を開けなさい」と言った。王が開けると、エリシャはさらに言った。「矢を射なさい。」彼が矢を射ると、エリシャは言った。「の勝利の矢、アラムに対する勝利の矢。あなたはアフェクでアラムを討ち、これを絶ち滅ぼす。」

13:18 それからエリシャは、「矢を取りなさい」と言ったので、イスラエルの王は取った。そしてエリシャは王に「それで地面を打ちなさい」と言った。すると彼は三回打ったが、それでやめた。

13:19 神の人は彼に激怒して言った。「あなたは五回も六回も打つべきだった。そうすれば、あなたはアラムを討って、絶ち滅ぼすことになっただろう。しかし、今は三回だけアラムを討つことになる。」

13:20 こうして、エリシャは死んで葬られた。モアブの略奪隊は、年が改まるたびにこの国に侵入していた。

13:21 人々が、一人の人を葬ろうとしていたちょうどそのとき、略奪隊を見たので、その人をエリシャの墓に投げ入れて去って行った。その人がエリシャの骨に触れるやいなや、その人は生き返り、自分の足で立ち上がった。

13:22 アラムの王ハザエルは、エホアハズの生きている間中、イスラエル人を虐げたが、

13:23 は、アブラハム、イサク、ヤコブとの契約のゆえに、彼らを恵み、あわれみ、顧みて、彼らを滅ぼし尽くすことは望まず、今日まで、御顔を背けて彼らを捨てることはなさらなかった。

13:24 アラムの王ハザエルは死に、その子ベン・ハダドが代わって王となった。

13:25 エホアハズの子ヨアシュは、その父エホアハズの手からハザエルが攻め取った町々を、ハザエルの子ベン・ハダドの手から取り返した。ヨアシュは三度彼を打ち破って、イスラエルの町々を取り返した。

Ⅱ列王

[ 14 ]

14:1 イスラエルの王エホアハズの子ヨアシュの第二年に、ユダの王ヨアシュの子アマツヤが王となった。

14:2 彼は二十五歳で王となり、エルサレムで二十九年間、王であった。彼の母の名はエホアダンといい、エルサレム出身であった。

14:3 彼はの目にかなうことを行った。ただし、彼の父祖ダビデのようではなく、すべて父ヨアシュが行ったとおりに行った。

14:4 すなわち、高き所は取り除かれなかった。民はなおも、その高き所でいけにえを献げたり、犠牲を供えたりしていた。

14:5 王国が彼の手によって強くなると、彼は、自分の父である王を討った家来たちを打ち殺した。

14:6 しかし、その殺害者の子どもたちは殺さなかった。モーセの律法の書に記されているところに基づいてのことであった。はその中でこう命じておられた。「父が子のゆえに殺されてはならない。子が父のゆえに殺されてはならない。人が殺されるのは、ただ自分の罪過のゆえでなければならない。」

14:7 アマツヤは塩の谷で一万人のエドム人を討って、セラを取り、その場所をヨクテエルと呼んだ。今日もそうである。

14:8 そのときアマツヤは、エフーの子エホアハズの子、イスラエルの王ヨアシュに使者を送って言った。「さあ、直接、対決しようではないか。」

14:9 イスラエルの王ヨアシュは、ユダの王アマツヤに人を遣わして言った。「レバノンのあざみが、レバノンの杉に人を遣わして、『あなたの娘を私の息子の妻にくれないか』と言ったが、レバノンの野の獣が通り過ぎて、そのあざみを踏みにじった。

14:10 あなたはエドムを打ち破って、心が高ぶっている。誇ってもよいが、自分の家にとどまっていなさい。なぜ、あえてわざわいを引き起こし、あなたもユダもともに倒れようとするのか。」

14:11 しかし、アマツヤが聞き入れなかったので、イスラエルの王ヨアシュは攻め上った。彼とユダの王アマツヤは、ユダのベテ・シェメシュで直接、対決した。

14:12 ユダはイスラエルに打ち負かされ、それぞれ自分の天幕に逃げ帰った。

14:13 イスラエルの王ヨアシュは、アハズヤの子ヨアシュの子、ユダの王アマツヤをベテ・シェメシュで捕らえ、エルサレムにやって来た。そして、エルサレムの城壁をエフライムの門から隅の門まで、四百キュビトにわたって打ち壊した。

14:14 彼は、の宮と王宮の宝物倉にあったすべての金と銀、すべての器、および人質を取って、サマリアに帰った。

14:15 ヨアシュが行ったその他の事柄、その功績、ユダの王アマツヤと戦った戦績、それは『イスラエルの王の歴代誌』に確かに記されている。

14:16 ヨアシュは先祖とともに眠りにつき、イスラエルの王たちとともにサマリアに葬られた。彼の子ヤロブアムが代わって王となった。

14:17 ユダの王ヨアシュの子アマツヤは、イスラエルの王エホアハズの子ヨアシュの死後、なお十五年生きた。

14:18 アマツヤについてのその他の事柄、それは『ユダの王の歴代誌』に確かに記されている。

14:19 エルサレムで人々が彼に対して謀反を企てた。彼はラキシュに逃げたが、人々はラキシュに追っ手を送り、そこで彼を殺した。

14:20 彼らは彼を馬に乗せて運んだ。彼はエルサレムで先祖とともに、ダビデの町に葬られた。

14:21 ユダの民はみな、当時十六歳であったアザルヤを立てて、その父アマツヤの代わりに王とした。

14:22 彼は、アマツヤが先祖とともに眠った後、エイラトを築き直し、それをユダに復帰させた。

14:23 ユダの王ヨアシュの子アマツヤの第十五年に、イスラエルの王ヨアシュの子ヤロブアムが王となり、サマリアで四十一年間、王であった。

14:24 彼はの目に悪であることを行い、イスラエルに罪を犯させたネバテの子ヤロブアムのすべての罪から離れなかった。

14:25 彼は、レボ・ハマテからアラバの海までイスラエルの領土を回復した。それは、イスラエルの神、が、そのしもべ、ガテ・ヘフェル出身の預言者、アミタイの子ヨナを通して語られたことばのとおりであった。

14:26 イスラエルの苦しみが非常に激しいのを、がご覧になったからである。そこには、奴隷も自由な者もいなくなり、イスラエルを助ける者もいなかった。

14:27 はイスラエルの名を天の下から消し去ろうとは言っておられなかった。それで、ヨアシュの子ヤロブアムによって彼らを救われたのである。

14:28 ヤロブアムについてのその他の事柄、彼が行ったすべてのこと、彼が戦いであげた功績、すなわち、かつてユダのものであったダマスコとハマテをイスラエルに取り戻したこと、それは『イスラエルの王の歴代誌』に確かに記されている。

14:29 ヤロブアムは、彼の先祖たち、イスラエルの王たちとともに眠り、その子ゼカリヤが代わって王となった。

Ⅱ列王

[ 15 ]

15:1 イスラエルの王ヤロブアムの第二十七年に、ユダの王アマツヤの子アザルヤが王となった。

15:2 彼は十六歳で王となり、エルサレムで五十二年間、王であった。彼の母の名はエコルヤといい、エルサレム出身であった。

15:3 彼は、すべて父アマツヤが行ったとおりに、の目にかなうことを行った。

15:4 ただし、高き所は取り除かれなかった。民はなおも、その高き所でいけにえを献げたり、犠牲を供えたりしていた。

15:5 が王を打たれたので、彼は死ぬ日までツァラアトに冒された者となり、隔離された家に住んだ。王の子ヨタムが宮殿を管理し、民衆をさばいた。

15:6 アザルヤについてのその他の事柄、彼が行ったすべてのこと、それは『ユダの王の歴代誌』に確かに記されている。

15:7 アザルヤは彼の先祖とともに眠りについた。人々は彼をダビデの町に先祖とともに葬った。彼の子ヨタムが代わって王となった。

15:8 ユダの王アザルヤの第三十八年に、ヤロブアムの子ゼカリヤがサマリアでイスラエルの王となり、六か月の間、王であった。

15:9 彼は先祖たちがしたように、の目に悪であることを行い、イスラエルに罪を犯させたネバテの子ヤロブアムの罪から離れなかった。

15:10 ヤベシュの子シャルムは、彼に対して謀反を企て、民の前で彼を打ち殺し、彼に代わって王となった。

15:11 ゼカリヤについてのその他の事柄は、『イスラエルの王の歴代誌』にまさしく記されている。

15:12 がかつてエフーに告げられたことばは、「あなたの子孫は四代までイスラエルの王座に着く」ということであったが、はたして、そのとおりになった。

15:13 ヤベシュの子シャルムは、ユダの王ウジヤの第三十九年に王となり、サマリアで一か月間、王であった。

15:14 ガディの子メナヘムは、ティルツァから上ってサマリアに至り、ヤベシュの子シャルムをサマリアで打ち、彼を殺して、彼に代わって王となった。

15:15 シャルムについてのその他の事柄、彼が企てた謀反は、『イスラエルの王の歴代誌』にまさしく記されている。

15:16 そのとき、メナヘムはティルツァから出て、ティフサフとその住民、その領地を討った。彼らが城門を開かなかったので、その中のすべての妊婦たちを打ち殺して切り裂いた。

15:17 ユダの王アザルヤの第三十九年に、ガディの子メナヘムがイスラエルの王となり、サマリアで十年間、王であった。

15:18 彼はの目に悪であることを行い、一生の間、イスラエルに罪を犯させたネバテの子ヤロブアムの罪から離れなかった。

15:19 アッシリアの王プルがこの国に来たとき、メナヘムは銀千タラントをプルに与えた。プルの援助によって、王国を強くするためであった。

15:20 メナヘムは、イスラエルのすべての有力者にそれぞれ銀五十シェケルを供出させ、これをアッシリアの王に与えたので、アッシリアの王は引き返し、この国にとどまらなかった。

15:21 メナヘムについてのその他の事柄、彼が行ったすべてのこと、それは『イスラエルの王の歴代誌』に確かに記されている。

15:22 メナヘムは先祖とともに眠りにつき、その子ペカフヤが代わって王となった。

15:23 ユダの王アザルヤの第五十年に、メナヘムの子ペカフヤがサマリアでイスラエルの王となり、二年間、王であった。

15:24 彼はの目に悪であることを行い、イスラエルに罪を犯させたネバテの子ヤロブアムの罪から離れなかった。

15:25 彼の侍従、レマルヤの子ペカは、彼に対して謀反を企て、サマリアの王宮の高殿で、ペカフヤとアルゴブとアルエを打ち殺した。ペカには五十人のギルアデ人が加わっていた。ペカはペカフヤを殺し、彼に代わって王となった。

15:26 ペカフヤについてのその他の事柄、彼が行ったすべてのことは、『イスラエルの王の歴代誌』にまさしく記されている。

15:27 ユダの王アザルヤの第五十二年に、レマルヤの子ペカがサマリアでイスラエルの王となり、二十年間、王であった。

15:28 彼はの目に悪であることを行い、イスラエルに罪を犯させたネバテの子ヤロブアムの罪から離れなかった。

15:29 イスラエルの王ペカの時代に、アッシリアの王ティグラト・ピレセルが来て、イヨン、アベル・ベテ・マアカ、ヤノアハ、ケデシュ、ハツォル、ギルアデ、ガリラヤ、ナフタリの全土を占領し、その住民をアッシリアへ捕らえ移した。

15:30 そのとき、エラの子ホセアはレマルヤの子ペカに対して謀反を企て、彼を打ち殺して、ウジヤの子ヨタムの第二十年に、彼に代わって王となった。

15:31 ペカについてのその他の事柄、彼が行ったすべてのことは、『イスラエルの王の歴代誌』にまさしく記されている。

15:32 イスラエルの王レマルヤの子ペカの第二年に、ユダの王ウジヤの子ヨタムが王となった。

15:33 彼は二十五歳で王となり、エルサレムで十六年間、王であった。彼の母の名はエルシャといい、ツァドクの娘であった。

15:34 彼は、すべて父ウジヤが行ったとおりに、の目にかなうことを行った。

15:35 ただし、高き所は取り除かれなかった。民はなおも、高き所でいけにえを献げたり、犠牲を供えたりしていた。彼はの宮の上の門を建てた。

15:36 ヨタムが行ったその他の事柄、それは『ユダの王の歴代誌』に確かに記されている。

15:37 そのころ、はアラムの王レツィンとレマルヤの子ペカを、ユダに対して送り始められた。

15:38 ヨタムは先祖とともに眠りにつき、先祖とともにその父ダビデの町に葬られた。彼の子アハズが代わって王となった。

Ⅱ列王

[ 16 ]

16:1 レマルヤの子ペカの第十七年に、ユダの王ヨタムの子アハズが王となった。

16:2 アハズは二十歳で王となり、エルサレムで十六年間、王であった。彼はその父祖ダビデとは違って、彼の神、の目にかなうことを行わず、

16:3 イスラエルの王たちの道に歩み、がイスラエルの子らの前から追い払われた異邦の民の、忌み嫌うべき慣わしをまねて、自分の子どもに火の中を通らせることまでした。

16:4 彼は高き所、丘の上、青々と茂るあらゆる木の下でいけにえを献げ、犠牲を供えた。

16:5 そのころ、アラムの王レツィンと、イスラエルの王レマルヤの子ペカが、戦いのためにエルサレムに上って来て、アハズを包囲したが、攻め切れなかった。

16:6 このとき、アラムの王レツィンはエイラトをアラムに復帰させ、ユダの人々をエイラトから追い払った。ところが、エドム人がエイラトに来て、そこに住みついた。今日もそのままである。

16:7 アハズは使者たちをアッシリアの王ティグラト・ピレセルに遣わして言った。「私はあなたのしもべであり、あなたの子です。どうか上って来て、私を攻めているアラムの王とイスラエルの王の手から救ってください。」

16:8 アハズがの宮と王宮の宝物倉にある銀と金を取り出して、それを贈り物としてアッシリアの王に送ったので、

16:9 アッシリアの王は彼の願いを聞き入れた。アッシリアの王はダマスコに攻め上り、これを取り、その住民をキルへ捕らえ移した。彼はレツィンを殺した。

16:10 アハズ王は、アッシリアの王ティグラト・ピレセルに会うためダマスコに行ったとき、ダマスコにある祭壇を見た。アハズ王は、祭壇の図面とその模型を、詳細な作り方と一緒に祭司ウリヤに送った。

16:11 祭司ウリヤは、アハズ王がダマスコから送ったものとそっくりの祭壇を築いた。祭司ウリヤは、アハズ王がダマスコから帰って来るまでに、そのようにした。

16:12 王はダマスコから帰って来た。その祭壇を見て、王は祭壇に近づき、その上に上った。

16:13 彼は全焼のささげ物と、穀物のささげ物を焼いて煙にし、注ぎのささげ物を注ぎ、自分のための交わりのいけにえの血をこの祭壇に振りかけた。

16:14 の前にあった青銅の祭壇は、神殿の前から、すなわち、この祭壇との神殿の間から動かし、この祭壇の北側に置いた。

16:15 それから、アハズ王は祭司ウリヤに次のように命じた。「朝の全焼のささげ物と夕方の穀物のささげ物、また、王の全焼のささげ物と穀物のささげ物、この国の民全体の全焼のささげ物と穀物のささげ物、ならびにこれらに添える注ぎのささげ物を、この大いなる祭壇の上で焼いて煙にせよ。また全焼のささげ物の血といけにえの血は、すべてこの祭壇の上に振りかけなければならない。青銅の祭壇は、私が伺いを立てるためのものとする。」

16:16 祭司ウリヤは、すべてアハズ王が命じたとおりに行った。

16:17 アハズ王は、車輪付きの台の鏡板を切り離し、その台の上から洗盤を外し、またその下にある青銅の牛の上から「海」も降ろして、それを敷き石の上に置いた。

16:18 彼は、宮の中に造られていた安息日用の覆いのある通路も、外側の王の出入り口も、アッシリアの王のためにの宮から取り除いた。

16:19 アハズが行ったその他の事柄、それは『ユダの王の歴代誌』に確かに記されている。

16:20 アハズは先祖とともに眠りにつき、先祖とともにダビデの町に葬られた。彼の子ヒゼキヤが代わって王となった。

Ⅱ列王

[ 17 ]

17:1 ユダの王アハズの第十二年に、エラの子ホセアがサマリアでイスラエルの王となり、九年間、王であった。

17:2 彼はの目に悪であることを行ったが、彼以前のイスラエルの王たちのようではなかった。

17:3 アッシリアの王シャルマネセルが攻め上って来た。そのとき、ホセアは彼に服従して、貢ぎ物を納めた。

17:4 しかし、アッシリアの王はホセアの謀反に気がついた。ホセアがエジプトの王ソに使者たちを遣わし、アッシリアの王には年々の貢ぎ物を納めなかったからである。そこで、アッシリアの王は彼を捕らえて牢獄につないだ。

17:5 アッシリアの王はこの国全土に攻め上り、サマリアに攻め上って、三年間これを包囲した。

17:6 ホセアの第九年に、アッシリアの王はサマリアを取り、イスラエル人をアッシリアに捕らえ移し、彼らをハラフと、ゴザンの川ハボルのほとり、またメディアの町々に住まわせた。

17:7 こうなったのは、イスラエルの子らが、自分たちをエジプトの地から連れ上り、エジプトの王ファラオの支配下から解放した自分たちの神、に対して罪を犯し、ほかの神々を恐れ、

17:8 がイスラエルの子らの前から追い払われた異邦の民の風習、イスラエルの王たちが取り入れた風習にしたがって歩んだからである。

17:9 イスラエルの子らは、自分たちの神、に対して、正しくないことをひそかに行い、見張りのやぐらから城壁のある町に至るまで、すべての町に高き所を築き、

17:10 すべての小高い丘の上や、青々と茂るどの木の下にも石の柱やアシェラ像を立て、

17:11 が彼らの前から移された異邦の民のように、すべての高き所で犠牲を供え、悪事を行っての怒りを引き起こした。

17:12 が彼らに「このようなことをしてはならない」と命じておられたのに、彼らは偶像に仕えたのである。

17:13 はすべての預言者とすべての先見者を通して、イスラエルとユダに次のように警告された。「あなたがたは悪の道から立ち返れ。わたしがあなたがたの先祖たちに命じ、また、わたしのしもべである預言者たちを通してあなたがたに伝えた律法全体にしたがって、わたしの命令と掟を守れ。」

17:14 しかし、彼らはこれを聞き入れず、彼らの神、を信じなかった彼らの先祖たちのように、うなじを固くした。

17:15 彼らは主の掟と、彼らの先祖たちと結ばれた主の契約と、彼らに与えられた主の警告を蔑み、空しいものに従って歩んだので、自分たちも空しいものとなり、が倣ってはならないと命じられた、周囲の異邦の民に倣って歩んだ。

17:16 彼らの神、のすべての命令を捨て、自分たちのために、鋳物の像、二頭の子牛の像を造り、さらにアシェラ像を造り、天の万象を拝み、バアルに仕えた。

17:17 また、自分たちの息子や娘たちに火の中を通らせ、占いをし、まじないをし、の目に悪であることを行うことに身を任せ、主の怒りを引き起こした。

17:18 そのためはイスラエルに対して激しく怒り、彼らを御前から除かれた。ただユダの部族だけが残った。

17:19 ユダも、彼らの神、の命令を守らず、イスラエルが取り入れた風習にしたがって歩んだ。

17:20 そのためはイスラエルのすべての子孫を蔑み、彼らを苦しめ、略奪者たちの手に渡し、ついに彼らを御前から投げ捨てられた。

17:21 主がイスラエルをダビデの家から引き裂かれたとき、彼らはネバテの子ヤロブアムを王としたが、ヤロブアムはイスラエルをに従わないように仕向け、そうして彼らに大きな罪を犯させた。

17:22 イスラエルの人々は、ヤロブアムが行ったすべての罪に歩み、それから離れなかったので、

17:23 は、そのしもべであるすべての預言者を通して告げられたとおり、ついにイスラエルを御前から除かれた。こうして、イスラエルは自分の土地からアッシリアに引いて行かれた。今日もそのままである。

17:24 アッシリアの王は、バビロン、クテ、アワ、ハマテ、そしてセファルワイムから人々を連れて来て、イスラエル人の代わりにサマリアの町々に住まわせた。こうして、彼らはサマリアを占領して、その町々に住んだ。

17:25 彼らはそこに住み始めたとき、を恐れなかったので、は彼らの中に獅子を送り込まれた。獅子は彼らの何人かを殺した。

17:26 彼らはアッシリアの王に次のように報告した。「あなたがサマリアの町々に移した諸国の民は、この土地の神についての慣わしを知りません。それで、神が彼らのうちに獅子を送り込みました。今、獅子が彼らを殺しています。彼らがこの土地の神についての慣わしを知らないからです。」

17:27 そこで、アッシリアの王は次のように命じた。「おまえたちがそこから捕らえ移した祭司の一人を、そこに連れて行け。行かせて、そこに住まわせ、その土地の神についての慣わしを教えさせよ。」

17:28 こうして、サマリアから捕らえ移された祭司の一人が来てベテルに住み、どのようにしてを礼拝するべきかを教えた。

17:29 しかし、それぞれの民は、それぞれ自分たちの神々を造り、サマリア人が造った高き所の宮にそれを安置した。それぞれの民は自分が住む町々でそのようにした。

17:30 バビロンの人々はスコテ・ベノテを造り、クテの人々はネルガルを造り、ハマテの人々はアシマを造り、

17:31 アワ人はニブハズとタルタクを造り、セファルワイム人はセファルワイムの神々、アデラメレクとアナメレクに自分たちの子どもを火で焼いて献げた。

17:32 彼らはを礼拝したが、自分たちの中から高き所の祭司たちを自分たちで任命し、この祭司たちが彼らのために高き所の宮で祭儀を行った。

17:33 彼らはを礼拝しながら、同時に、自分たちが移される前にいた国々の慣わしによって、自分たちの神々にも仕えていた。

17:34 彼らは今日まで、以前の慣わしのとおりに行っている。彼らはを恐れることはなく、がイスラエルと名をつけたヤコブの子たちに命じられた、掟や定めや律法や命令のとおりに行うこともない。

17:35 はイスラエル人と契約を結び、次のように命じられた。「ほかの神々を恐れてはならない。これを拝み、これに仕えてはならない。これにいけにえを献げてはならない。

17:36 大きな力と、伸ばされた腕をもって、あなたがたをエジプトの地から連れ上っただけを恐れ、主を礼拝し、主にいけにえを献げなければならない。

17:37 主があなたがたのために書き記した掟と定めと律法と命令をいつも守り行わなければならない。ほかの神々を恐れてはならない。

17:38 わたしがあなたがたと結んだ契約を忘れてはならない。ほかの神々を恐れてはならない。

17:39 あなたがたの神、だけを恐れなければならない。主はすべての敵の手からあなたがたを救い出される。」

17:40 しかし、彼らは聞かず、以前の彼らの慣わしのとおりに行った。

17:41 このようにして、これらの民はを礼拝すると同時に、彼らの刻んだ像にも仕えた。その子たちも、孫たちも、その先祖たちがしたとおりに行った。今日もそうである。

Ⅱ列王

[ 18 ]

18:1 イスラエルの王エラの子ホセアの第三年に、ユダの王アハズの子ヒゼキヤが王となった。

18:2 彼は二十五歳で王となり、エルサレムで二十九年間、王であった。彼の母の名はアビといい、ゼカリヤの娘であった。

18:3 彼は、すべて父祖ダビデが行ったとおりに、の目にかなうことを行った。

18:4 高き所を取り除き、石の柱を打ち砕き、アシェラ像を切り倒し、モーセが作った青銅の蛇を砕いた。そのころまで、イスラエル人がこれに犠牲を供えていたからである。これはネフシュタンと呼ばれていた。

18:5 彼はイスラエルの神、に信頼していた。彼の後にも前にも、ユダの王たちの中で、彼ほどの者はだれもいなかった。

18:6 彼はに堅くつき従って離れることなく、がモーセに命じられた命令を守った。

18:7 は彼とともにおられた。彼はどこへ出て行っても成功を収めた。彼はアッシリアの王に反逆し、彼に仕えなかった。

18:8 彼はペリシテ人を討ってガザにまで至り、見張りのやぐらから城壁のある町に至るその領土を打ち破った。

18:9 ヒゼキヤ王の第四年、イスラエルの王エラの子ホセアの第七年に、アッシリアの王シャルマネセルがサマリアに攻め上って来て、これを包囲し、

18:10 三年後にこれを攻め取った。すなわち、ヒゼキヤの第六年、イスラエルの王ホセアの第九年に、サマリアは攻め取られた。

18:11 アッシリアの王はイスラエル人をアッシリアに捕らえ移し、彼らをハラフと、ゴザンの川ハボルのほとり、またメディアの町々に定住させた。

18:12 これは、彼らが彼らの神、の御声に聞き従わず、その契約を破り、のしもべモーセが命じたすべてのことに聞き従わず、これを行わなかったからである。

18:13 ヒゼキヤ王の第十四年に、アッシリアの王センナケリブが、ユダのすべての城壁のある町々に攻め上り、これを取った。

18:14 ユダの王ヒゼキヤは、ラキシュのアッシリアの王のところに人を遣わして言った。「私は過ちを犯しました。私のところから引き揚げてください。あなたが私に課せられるものは何でも負いますから。」そこで、アッシリアの王はユダの王ヒゼキヤに、銀三百タラントと金三十タラントを要求した。

18:15 ヒゼキヤは、の宮と王宮の宝物倉にある銀をすべて渡した。

18:16 そのとき、ユダの王ヒゼキヤは、自分がの神殿の扉と柱に張り付けた金を剥ぎ取り、これをアッシリアの王に渡した。

18:17 アッシリアの王は、タルタン、ラブ・サリス、およびラブ・シャケを、大軍とともにラキシュからエルサレムのヒゼキヤ王のところへ送った。彼らはエルサレムに上って来た。彼らは上って来ると、布さらしの野への大路にある、上の池の水道のそばに立った。

18:18 彼らが王に呼びかけたので、ヒルキヤの子である宮廷長官エルヤキム、書記シェブナ、およびアサフの子である史官ヨアフは、彼らのところに出て行った。

18:19 ラブ・シャケは彼らに言った。「ヒゼキヤに伝えよ。大王、アッシリアの王がこう言っておられる。『いったい、おまえは何に拠り頼んでいるのか。

18:20 口先だけのことばが、戦略であり戦力だというのか。今おまえは、だれに拠り頼んでいるのか。私に反逆しているが。

18:21 今おまえは、あの傷んだ葦の杖、エジプトに拠り頼んでいるが、それは、それに寄りかかる者の手を刺し貫くだけだ。エジプトの王ファラオは、すべて彼に拠り頼む者にそうするのだ。

18:22 おまえたちは私に「われわれは、われわれの神、に拠り頼む」と言う。その主とは、ヒゼキヤがその高き所と祭壇を取り除いて、ユダとエルサレムに「エルサレムにあるこの祭壇の前で拝め」と言った、そういう主ではないか。

18:23 さあ今、私の主君、アッシリアの王と賭けをしないか。もし、おまえのほうで乗り手をそろえることができるのなら、おまえに二千頭の馬を与えよう。

18:24 おまえは戦車と騎兵のことでエジプトに拠り頼んでいるが、私の主君の最も小さい家来である総督一人さえ追い返せないのだ。

18:25 今、私がこの場所を滅ぼすために上って来たのは、を差し置いてのことであろうか。が私に「この国に攻め上って、これを滅ぼせ」と言われたのだ。』」

18:26 ヒルキヤの子エルヤキムとシェブナとヨアフは、ラブ・シャケに言った。「どうか、しもべたちにはアラム語で話してください。われわれはアラム語が分かりますから。城壁の上にいる民が聞いているところでは、われわれにユダのことばで話さないでください。」

18:27 ラブ・シャケは彼らに言った。「私の主君がこれらのことを告げに私を遣わされたのは、おまえの主君や、おまえのためだろうか。むしろ、城壁の上に座っている者たちのためではないか。彼らはおまえたちと一緒に、自分の糞を食らい、自分の尿を飲むようになるのだ。」

18:28 ラブ・シャケは突っ立って、ユダのことばで大声で叫んで、こう告げた。「大王、アッシリアの王のことばを聞け。

18:29 王はこう言っておられる。『ヒゼキヤにごまかされるな。あれは、おまえたちを私の手から救い出すことができないからだ。

18:30 ヒゼキヤは、「が必ずわれわれを救い出してくださる。この都は決してアッシリアの王の手に渡されることはない」と言って、おまえたちにを信頼させようとするが、そうはさせない。』

18:31 ヒゼキヤの言うことを聞くな。アッシリアの王はこう言っておられるからだ。『私と和を結び、私に降伏せよ。そうすれば、おまえたちはみな、自分のぶどうと自分のいちじくを食べ、自分の井戸の水を飲めるようになる。

18:32 その後私は来て、おまえたちの国と同じような国におまえたちを連れて行く。そこは穀物と新しいぶどう酒の地、パンとぶどう畑の地、オリーブの木と蜜の地である。おまえたちが生き延びて死ぬことのないようにするためである。たとえヒゼキヤが、「はわれわれを救い出してくださる」と言って、おまえたちをそそのかしても、ヒゼキヤに聞き従ってはならない。

18:33 国々の神々は、それぞれ自分の国をアッシリアの王の手から救い出しただろうか。

18:34 ハマテやアルパデの神々は今、どこにいるのか。セファルワイムやヘナやイワの神々はどこにいるのか。彼らはサマリアを私の手から救い出したか。

18:35 国々のすべての神々のうち、だれが自分たちの国を私の手から救い出したか。がエルサレムを私の手から救い出せるとでもいうのか。』」

18:36 民は黙って、彼に一言も答えなかった。「彼に答えるな」というのが、王の命令だったからである。

18:37 ヒルキヤの子である宮廷長官エルヤキム、書記シェブナ、アサフの子である史官ヨアフは、自分たちの衣を引き裂いてヒゼキヤのもとに行き、ラブ・シャケのことばを告げた。

Ⅱ列王

[ 19 ]

19:1 ヒゼキヤ王はこれを聞くと衣を引き裂き、粗布を身にまとっての宮に入った。

19:2 彼は、宮廷長官エルヤキム、書記シェブナ、年長の祭司たちに粗布を身にまとわせて、アモツの子、預言者イザヤのところに遣わした。

19:3 彼らはイザヤに言った。「ヒゼキヤはこう言っております。『今日は、苦難と懲らしめと屈辱の日です。子どもが生まれようとしているのに、それを産み出す力がないからです。

19:4 おそらく、あなたの神、は、ラブ・シャケのすべてのことばを聞かれたことでしょう。彼の主君、アッシリアの王が、生ける神をそしるために彼を遣わしたのです。あなたの神、は、お聞きになったそのことばをとがめられます。あなたは、まだいる残りの者のために祈りの声をあげてください。』」

19:5 ヒゼキヤ王の家来たちがイザヤのもとに来たとき、

19:6 イザヤは彼らに言った。「あなたがたの主君にこう言いなさい。『はこう言われる。あなたが聞いたあのことば、アッシリアの王の若い者たちがわたしをののしった、あのことばを恐れるな。

19:7 今、わたしは彼のうちに霊を置く。彼は、あるうわさを聞いて、自分の国に引き揚げる。わたしはその国で彼を剣で倒す。』」

19:8 ラブ・シャケは退いて、リブナを攻めていたアッシリアの王と落ち合った。王がラキシュから移動したことを聞いていたからである。

19:9 王は、クシュの王ティルハカについて、「今、彼はあなたと戦うために出て来ている」との知らせを聞くと、再び使者たちをヒゼキヤに遣わして言った。

19:10 「ユダの王ヒゼキヤにこう伝えよ。『おまえが信頼するおまえの神にだまされてはいけない。エルサレムはアッシリアの王の手に渡されないと言っているが。

19:11 おまえは、アッシリアの王たちがすべての国々にしたこと、それらを絶滅させたことを確かに聞いている。それでも、おまえだけは救い出されるというのか。

19:12 私の先祖は、ゴザン、ハラン、レツェフ、またテラサルにいたエデンの人々を滅ぼしたが、その国々の神々は彼らを救い出したか。

19:13 ハマテの王、アルパデの王、セファルワイムの町の王、ヘナやイワの王はどこにいるか。』」

19:14 ヒゼキヤは、使者の手からその手紙を受け取って読み、の宮に上って行き、それをの前に広げた。

19:15 ヒゼキヤはの前で祈った。「ケルビムの上に座しておられるイスラエルの神、よ。ただ、あなただけが、地のすべての王国の神です。あなたが天と地を造られました。

19:16 よ。御耳を傾けて聞いてください。よ。御目を開いてご覧ください。生ける神をそしるために言ってよこしたセンナケリブのことばを聞いてください。

19:17 よ。アッシリアの王たちが、国々とその国土を廃墟としたのは事実です。

19:18 彼らはその神々を火に投げ込みました。それらが神ではなく、人の手のわざ、木や石にすぎなかったので、彼らはこれを滅ぼすことができたのです。

19:19 私たちの神、よ。どうか今、私たちを彼の手から救ってください。そうすれば、地のすべての王国は、よ、あなただけが神であることを知るでしょう。」

19:20 アモツの子イザヤはヒゼキヤのところに人を送って言った。「イスラエルの神、はこう言われる。『あなたがアッシリアの王センナケリブについて、わたしに祈ったことを、わたしは聞いた。』

19:21 が彼について語られたことばは、このとおりである。『処女である娘シオンはおまえを蔑み、おまえを嘲る。娘エルサレムはおまえのうしろで頭を振る。

19:22 おまえはだれをそしり、だれをののしったのか。だれに向かって声をあげ、高慢な目を上げたのか。イスラエルの聖なる者に対してだ。

19:23 おまえは使者たちを通して、主をそしって言った。「多くの戦車を率いて、私は山々の頂に、レバノンの奥深くへ上って行った。そのそびえる杉の木と美しいもみの木を切り倒し、その果ての高地、木の茂った園にまで入って行った。

19:24 私は井戸を掘って、他国の水を飲み、足の裏でエジプトのすべての川を干上がらせた」と。

19:25 おまえは聞かなかったのか。遠い昔に、わたしがそれをなし、大昔に、わたしがそれを計画し、今、それを果たしたことを。それで、おまえは城壁のある町々を荒らして廃墟の石くれの山としたのだ。

19:26 その住民は力失せ、打ちのめされて恥を見て、野の草や青菜、育つ前に干からびる屋根の草のようになった。

19:27 おまえが座るのも、出て行くのも、おまえが入るのも、わたしはよく知っている。わたしに向かっていきり立つのも。

19:28 おまえがわたしに向かっていきり立ち、おまえの安逸がわたしの耳に届いたので、わたしはおまえの鼻に鉤輪を、口にくつわをはめ、おまえを、もと来た道に引き戻す。』

19:29 あなたへのしるしは、このとおりである。『今年は、落ち穂から生えたものを食べ、二年目は、それから生えたものを食べ、三年目は、種を蒔いて刈り入れ、ぶどう畑を作ってその実を食べる。

19:30 ユダの家の中の逃れの者、残された者は下に根を張り、上に実を結ぶ。

19:31 エルサレムから残りの者が、シオンの山から、逃れの者が出て来るからである。万軍のの熱心がこれを成し遂げる。』

19:32 それゆえ、アッシリアの王について、はこう言われる。『彼はこの都に侵入しない。また、ここに矢を放たず、これに盾をもって迫らず、塁を築いてこれを攻めることもない。

19:33 彼は、もと来た道を引き返し、この都には入らない──のことば──。

19:34 わたしはこの都を守って、これを救う。わたしのために、わたしのしもべダビデのために。』」

19:35 その夜、の使いが出て行き、アッシリアの陣営で十八万五千人を打ち殺した。人々が翌朝早く起きて見ると、なんと、彼らはみな死体となっていた。

19:36 アッシリアの王センナケリブは陣をたたんで去り、帰ってニネベに住んだ。

19:37 彼が自分の神ニスロクの神殿で拝んでいたとき、その息子たち、アデラメレクとサルエツェルは、剣で彼を打ち殺した。彼らはアララテの地へ逃れ、彼の子エサル・ハドンが代わって王となった。

Ⅱ列王

[ 20 ]

20:1 そのころ、ヒゼキヤは病気になって死にかかっていた。そこへ、アモツの子、預言者イザヤが来て、彼に言った。「はこう言われる。『あなたの家を整理せよ。あなたは死ぬ。治らない。』」

20:2 ヒゼキヤは顔を壁に向け、に祈った。

20:3 「ああ、よ、どうか思い出してください。私が真実と全き心をもって、あなたの御前に歩み、あなたの御目にかなうことを行ってきたことを。」ヒゼキヤは大声で泣いた。

20:4 イザヤがまだ中庭を出ないうちに、次のようなのことばが彼にあった。

20:5 「引き返して、わたしの民の君主ヒゼキヤに告げよ。あなたの父ダビデの神、はこう言われます。『わたしはあなたの祈りを聞いた。あなたの涙も見た。見よ、わたしはあなたを癒やす。あなたは三日目にの宮に上る。

20:6 わたしは、あなたの寿命にもう十五年を加える。わたしはアッシリアの王の手からあなたとこの都を救い出し、わたしのために、わたしのしもべダビデのためにこの都を守る。』」

20:7 イザヤが「ひとかたまりの干しいちじくを持って来なさい」と命じたので、人々はそれを持って来て腫物に当てた。すると彼は治った。

20:8 ヒゼキヤはイザヤに言った。「が私を癒やしてくださり、私が三日目にの宮に上れるしるしは何ですか。」

20:9 イザヤは言った。「次のことが、あなたへのからのしるしです。は約束したことを成就されます。影が十度進むか、十度戻るかです。」

20:10 ヒゼキヤは答えた。「影が十度伸びるのは容易なことです。むしろ、影が十度後に戻るようにしてください。」

20:11 預言者イザヤがに祈ると、主は、アハズの日時計に落ちた日時計の影を十度後に戻された。

20:12 そのころ、バルアダンの子、バビロンの王メロダク・バルアダンは使者を遣わして、手紙と贈り物をヒゼキヤに届けた。ヒゼキヤが病気だったことを聞いていたからである。

20:13 ヒゼキヤは彼らを歓迎して、すべての宝庫、銀、金、香料、高価な油、武器庫、彼の宝物倉にあるすべての物を彼らに見せた。ヒゼキヤがその家の中、および国中で、彼らに見せなかった物は一つもなかった。

20:14 預言者イザヤはヒゼキヤ王のところに来て、彼に尋ねた。「あの人たちは何と言いましたか。どこから来たのですか。」ヒゼキヤは「遠い国、バビロンから来ました」と答えた。

20:15 イザヤは言った。「彼らはあなたの家で何を見たのですか。」ヒゼキヤは答えた。「私の家の中のすべての物を見ました。私の宝物倉の中で彼らに見せなかった物は一つもありません。」

20:16 イザヤはヒゼキヤに言った。「のことばを聞きなさい。

20:17 見よ。あなたの家にある物、あなたの父祖たちが今日まで蓄えてきた物がすべて、バビロンへ運び去られる日々が来る。何一つ残されることはない──は言われる──。

20:18 また、あなたが生む、あなた自身の息子たちの中には、捕らえられてバビロンの王の宮殿で宦官となる者がいる。」

20:19 ヒゼキヤはイザヤに言った。「あなたが告げてくれたのことばはありがたい。」彼は、自分が生きている間は平和と安定があるのではないか、と思ったのである。

20:20 ヒゼキヤについてのその他の事柄、彼のすべての功績、彼が貯水池と水道を造り、都に水を引いたこと、それは『ユダの王の歴代誌』に確かに記されている。

20:21 ヒゼキヤは先祖とともに眠りにつき、その子マナセが代わって王となった。

Ⅱ列王

[ 21 ]

21:1 マナセは十二歳で王となり、エルサレムで五十五年間、王であった。彼の母の名はヘフツィ・バハといった。

21:2 彼は、がイスラエルの子らの前から追い払われた異邦の民の忌み嫌うべき慣わしをまねて、の目に悪であることを行った。

21:3 彼は父ヒゼキヤが打ち壊した高き所を築き直し、イスラエルの王アハブがしたように、バアルのためにいくつもの祭壇を築き、アシェラ像を造り、天の万象を拝んでこれに仕えた。

21:4 こうして彼は、がかつて「エルサレムにわたしの名を置く」と言われたの宮に、いくつもの祭壇を築いた。

21:5 の宮の二つの庭には、天の万象のために祭壇を築いた。

21:6 また、自分の子どもに火の中を通らせ、卜占をし、まじないをし、霊媒や口寄せをし、の目に悪であることを行って、いつも主の怒りを引き起こしていた。

21:7 彼はまた、自分が造ったアシェラの彫像を宮に安置した。はかつてこの宮について、ダビデとその子ソロモンに言われた。「わたしは、この宮に、そしてわたしがイスラエルの全部族の中から選んだエルサレムに、わたしの名をとこしえに置く。

21:8 もし彼らが、わたしの命じたすべてのこと、わたしのしもべモーセが彼らに命じたすべての律法を守り行いさえするなら、わたしはもう二度と、彼らの先祖たちに与えた地からイスラエルの足を迷い出させない。」

21:9 しかし、彼らはこれに聞き従わなかった。マナセは彼らを迷わせて、がイスラエルの子らの前で根絶やしにされた異邦の民よりも、さらに悪いことを行わせた。

21:10 は、そのしもべである預言者たちによって、次のように告げられた。

21:11 「ユダの王マナセは、これらの忌み嫌うべきことを行い、実に彼以前にいたアモリ人が行ったすべてのことよりもさらに悪いことを行い、その偶像でユダにまで罪を犯させた。

21:12 それゆえ、イスラエルの神、はこう言われる。見よ、わたしはエルサレムとユダにわざわいをもたらす。だれでもそれを聞く者は、両耳が鳴る。

21:13 わたしは、サマリアに使った測り縄と、アハブの家に使った重りをエルサレムの上に伸ばし、人が皿をぬぐい、それをぬぐって伏せるように、わたしはエルサレムをぬぐい去る。

21:14 わたしは、わたしのゆずりの民の残りの者を捨て去り、彼らを敵の手に渡す。彼らはそのすべての敵の餌食となって奪い取られる。

21:15 それは、彼らの先祖たちがエジプトを出た日から今日まで、わたしの目に悪であることを行って、わたしの怒りを引き起こしたからである。」

21:16 マナセは、ユダに罪を犯させて、の目に悪であることを行わせた罪だけでなく、咎のない者の血まで多量に流したが、それはエルサレムの隅々に満ちるほどであった。

21:17 マナセについてのその他の事柄、彼が行ったすべてのこと、彼が犯した罪、それは『ユダの王の歴代誌』に確かに記されている。

21:18 マナセは先祖とともに眠りにつき、その家の園、ウザの園に葬られた。彼の子アモンが代わって王となった。

21:19 アモンは二十二歳で王となり、エルサレムで二年間、王であった。彼の母の名はメシュレメテといい、ヨテバ出身のハルツの娘であった。

21:20 彼はその父マナセが行ったように、の目に悪であることを行った。

21:21 彼は父の歩んだすべての道に歩み、父が仕えた偶像に仕え、それらを拝み、

21:22 彼の父祖の神、を捨てて、の道に歩もうとはしなかった。

21:23 アモンの家来たちは彼に謀反を起こし、その宮殿の中で王を殺した。

21:24 しかし、民衆はアモン王に謀反を起こした者をみな打ち殺した。民衆はアモンの子ヨシヤを代わりに王とした。

21:25 アモンが行ったその他の事柄、それは『ユダの王の歴代誌』に確かに記されている。

21:26 人々は彼をウザの園にある彼の墓に葬った。彼の子ヨシヤが代わって王となった。

Ⅱ列王

[ 22 ]

22:1 ヨシヤは八歳で王となり、エルサレムで三十一年間、王であった。彼の母の名はエディダといい、ボツカテ出身のアダヤの娘であった。

22:2 彼はの目にかなうことを行い、父祖ダビデのすべての道に歩み、右にも左にもそれなかった。

22:3 ヨシヤ王の第十八年に、王は、メシュラムの子アツァルヤの子である書記シャファンをの宮に遣わして言った。

22:4 「大祭司ヒルキヤのもとに上って行き、の宮に納められていた金、すなわち、入り口を守る者たちが民から集めたものを彼に計算させよ。

22:5 彼らがの宮で工事をしている監督者たちにそれを手渡すようにせよ。そして、監督者たちは、神殿の破損の修理をするために、の宮で工事をしている者たちにそれを渡すようにせよ。

22:6 大工、建築する者、石工に渡し、神殿の修理のための木材や切り石を買わせよ。

22:7 ただし、彼らの手に渡した金の精算がなされる必要はない。彼らは忠実に働いているからである。」

22:8 そのとき、大祭司ヒルキヤは書記シャファンに、「の宮で律法の書を見つけました」と言った。そしてヒルキヤがその書物をシャファンに渡したので、彼はそれを読んだ。

22:9 書記シャファンは王のもとに行って、王に報告した。「しもべたちは、神殿にあった金を取り出して、これをの宮で工事している監督者たちの手に渡しました。」

22:10 さらに書記シャファンは王に告げた。「祭司ヒルキヤが私に一つの書物を渡してくれました。」シャファンは王の前でそれを読み上げた。

22:11 王は律法の書のことばを聞いたとき、自分の衣を引き裂いた。

22:12 王は祭司ヒルキヤ、シャファンの子アヒカム、ミカヤの子アクボル、書記シャファン、王の家来アサヤに次のように命じた。

22:13 「行って、この見つかった書物のことばについて、私のため、民のため、ユダ全体のために、を求めよ。私たちの先祖たちがこの書物のことばに聞き従わず、すべて私たちについて記されているとおりに行わなかったために、私たちに向かって燃え上がったの憤りが激しいからだ。」

22:14 そこで、祭司ヒルキヤ、アヒカム、アクボル、シャファン、アサヤは、女預言者フルダのもとに行った。彼女は、ハルハスの子ティクワの子である装束係シャルムの妻で、エルサレムの第二区に住んでいた。彼らが彼女に伝えると、

22:15 彼女は彼らに答えた。「イスラエルの神であるはこう言われます。『あなたがたをわたしのもとに遣わした人に言え。

22:16 はこう言われる。見よ。わたしは、ユダの王が読み上げた書物のすべてのことばどおりに、この場所とその住民の上にわざわいをもたらす。

22:17 彼らはわたしを捨て、ほかの神々に犠牲を供え、自分たちのすべての手のわざで、わたしの怒りを引き起こした。こうして、わたしの憤りはこの場所に燃え上がり、消えることはない。』

22:18 を求めるためにあなたがたを遣わしたユダの王には、こう言いなさい。『あなたが聞いたことばについて、イスラエルの神であるは、こう言われる。

22:19 あなたは、わたしがこの場所とその住民について、これは恐怖のもととなり、ののしりの的となると告げたのを聞いた。そのとき、あなたは心を痛めての前にへりくだり、自分の衣を引き裂いてわたしの前で泣いたので、わたしもまた、あなたの願いを聞き入れる──のことば──。

22:20 それゆえ、見よ、わたしはあなたを先祖たちのもとに集める。あなたは平安のうちに自分の墓に集められる。あなたは自分の目で、わたしがこの場所にもたらす、すべてのわざわいを見ることはない。』」彼らはそれを王に報告した。

Ⅱ列王

[ 23 ]

23:1 王は使者を遣わして、ユダとエルサレムのすべての長老たちを彼のところに集めた。

23:2 王は、ユダのすべての人々、エルサレムのすべての住民、祭司と預言者、および下の者から上の者まで、すべての民とともにの宮に上り、の宮で見つかった契約の書のことばをすべて彼らに読み聞かせた。

23:3 それから王は柱のわきに立ち、の前に契約を結び、に従って歩み、心を尽くし、いのちを尽くして主の命令と証しと掟を守り、この書物に記されているこの契約のことばを実行することを誓った。民もみなこの契約に加わった。

23:4 王は大祭司ヒルキヤと次席祭司たち、および、入り口を守る者たちに命じて、バアルやアシェラや天の万象のために作られた祭具をことごとくの神殿から運び出し、エルサレムの郊外、キデロンの野でそれらを焼き、その灰をベテルへ持って行った。

23:5 彼はまた、偶像に仕える祭司たちを取り除いた。ユダの王たちが任命して、ユダの町々やエルサレム周辺の高き所で犠牲を供えていた祭司たちである。バアルや太陽や月や星座や天の万象に犠牲を供える者たちも取り除いた。

23:6 彼はまた、アシェラ像をの宮からエルサレム郊外のキデロンの谷に運び出し、それをキデロンの谷で焼いた。それを粉々に砕いて灰にし、その灰を共同墓地にまき散らした。

23:7 さらに、の宮の中にあった神殿男娼の家を打ち壊した。そこでは、女たちがアシェラ像のために覆いを織っていた。

23:8 彼はユダの町々から祭司たちをみな連れて来て、祭司たちが犠牲を供えていたゲバからベエル・シェバに至るまでの高き所を汚し、門にあった高き所を打ち壊した。それは町の長ヨシュアの門の入り口にあり、町の門に入る人の左側にあった。

23:9 高き所の祭司たちは、エルサレムのの祭壇に上ることはなかったが、その兄弟たちの間で種なしパンを食べていた。

23:10 彼はベン・ヒノムの谷にあるトフェトを汚し、だれも、自分の息子や娘に火の中を通らせてモレクに献げることのないようにした。

23:11 それから、ユダの王たちが太陽に献納した馬を、の宮の入り口、前庭にある宦官ネタン・メレクの部屋のそばから取り除き、太陽の車を火で焼いた。

23:12 王は、ユダの王たちがアハズの屋上の部屋の上に造った祭壇と、マナセがの宮の二つの庭に造った祭壇を、そこから外して打ち壊し、砕いた。そうして、その灰をキデロンの谷に投げ捨てた。

23:13 王は、エルサレムの東、破壊の山の南にあった高き所を汚れたものとした。これは、イスラエルの王ソロモンが、シドン人の忌むべき女神アシュタロテ、モアブの忌むべき神ケモシュ、アンモン人の忌み嫌うべき神ミルコムのために築いたものであった。

23:14 また、石の柱を打ち砕き、アシェラ像を切り倒し、その場所を人の骨で満たした。

23:15 さらに彼は、ベテルにある祭壇と、イスラエルに罪を犯させたネバテの子ヤロブアムが造った高き所、すなわち、その祭壇も高き所も打ち壊し、さらに高き所を焼いて粉々に砕いて灰にし、アシェラ像も焼いた。

23:16 ヨシヤが振り向くと、山の中に墓があるのが見えた。そこで彼は人を遣わしてその墓から骨を取り出し、それを祭壇の上で焼き、祭壇を汚れたものとした。かつて、神の人がこのことを預言して叫んだのことばのとおりであった。

23:17 ヨシヤは言った。「あそこに見える石碑は何か。」すると、町の人々は彼に答えた。「ユダから出て来て、あなたがベテルの祭壇に対してされたこれらのことを預言した神の人の墓です。」

23:18 王は言った。「そのままにしておけ。だれも彼の骨を移してはならない。」そこで人々は彼の骨を、サマリアから出て来たあの預言者の骨と一緒にそのままにしておいた。

23:19 ヨシヤはまた、イスラエルの王たちが造って主の怒りを引き起こした、サマリアの町々の高き所の宮もすべて取り除き、彼がベテルでしたのと全く同じことを、それらに対しても行った。

23:20 彼は、そこにいた高き所の祭司たちをみな、祭壇の上で屠り、その祭壇の上で人の骨を焼いた。こうして、彼はエルサレムに帰った。

23:21 王は民全体に次のように命じた。「この契約の書に記されているとおり、あなたがたの神、に、過越のいけにえを献げよ。」

23:22 実に、さばきつかさたちがイスラエルをさばいた時代以来、イスラエルの王たちとユダの王たちのどの時代にも、このような過越のいけにえが献げられたことはなかった。

23:23 ただ、ヨシヤ王の第十八年に、エルサレムでこの過越のいけにえがに献げられただけであった。

23:24 さらにヨシヤは、霊媒、口寄せ、テラフィム、偶像、それに、ユダの地とエルサレムに見られるすべての忌むべき物も除き去った。こうして、彼は祭司ヒルキヤがの宮で見つけた書物に記されている律法のことばを実行した。

23:25 ヨシヤのようにモーセのすべての律法にしたがって、心のすべて、たましいのすべて、力のすべてをもってに立ち返った王は、彼より前にはいなかった。彼の後にも彼のような者は、一人も起こらなかった。

23:26 それにもかかわらず、マナセが引き起こした主のすべての怒りのゆえに、はユダに向けて燃やした激しい怒りを収めようとはされなかった。

23:27 は言われた。「わたしがイスラエルを除いたのと同じように、ユダもわたしの前から除く。わたしが選んだこの都エルサレムも、わたしの名を置くと言ったこの宮も、わたしは退ける。」

23:28 ヨシヤについてのその他の事柄、彼が行ったすべてのこと、それは『ユダの王の歴代誌』に確かに記されている。

23:29 彼の時代に、エジプトの王ファラオ・ネコが、アッシリアの王のもとに行こうと、ユーフラテス川を目指して上って来た。そこで、ヨシヤ王は彼を迎え撃ちに行ったが、ファラオ・ネコはメギドで彼に出会った際、彼を殺した。

23:30 ヨシヤの家来たちは、彼の遺体を戦車に載せ、メギドからエルサレムに運んで、彼の墓に葬った。その国の民は、ヨシヤの子エホアハズを選んで油を注ぎ、彼の父に代えて王とした。

23:31 エホアハズは二十三歳で王となり、エルサレムで三か月間、王であった。彼の母の名はハムタルといい、リブナ出身のエレミヤの娘であった。

23:32 彼は、すべてその先祖たちがしたように、の目に悪であることを行った。

23:33 ファラオ・ネコは、エルサレムで王であった彼をハマテの地リブラに幽閉し、この国に銀百タラントと金一タラントの科料を課した。

23:34 それから、ファラオ・ネコは、ヨシヤの子エルヤキムをその父ヨシヤに代えて王とし、その名をエホヤキムと改めさせた。エホアハズは捕らえられ、エジプトに行き、そこで死んだ。

23:35 エホヤキムは銀と金をファラオに贈った。ただし、ファラオの要求するだけの銀を贈るために、この国に税を課さなければならなかった。彼は、ファラオ・ネコに贈るために、一人ひとりに税を割り当て、銀と金を民衆から取り立てた。

23:36 エホヤキムは二十五歳で王となり、エルサレムで十一年間、王であった。彼の母の名はゼブダといい、ルマ出身のペダヤの娘であった。

23:37 彼は、すべてその先祖たちがしたように、の目に悪であることを行った。

Ⅱ列王

[ 24 ]

24:1 エホヤキムの時代に、バビロンの王ネブカドネツァルが攻め上って来た。エホヤキムは三年間彼のしもべとなったが、その後、再び彼に反逆した。

24:2 そこでは、カルデア人の略奪隊、アラムの略奪隊、モアブの略奪隊、アンモン人の略奪隊を遣わしてエホヤキムを攻められた。ユダを攻めて滅ぼすために彼らを遣わされたのである。がそのしもべである預言者たちによって告げられたことばのとおりであった。

24:3 実に、このようなことがユダに起こったのは、ユダを主の前から除くというの命によることであり、それはマナセが犯したすべての罪のゆえ、

24:4 また、マナセが流した咎のない者の血のためであった。マナセはエルサレムを咎のない者の血で満たした。そのためは赦そうとはされなかったのである。

24:5 エホヤキムについてのその他の事柄、彼が行ったすべてのこと、それは『ユダの王の歴代誌』に確かに記されている。

24:6 エホヤキムは先祖とともに眠りにつき、その子エホヤキンが代わって王となった。

24:7 エジプトの王は自分の国から再び出て来ることがなかった。バビロンの王が、エジプト川から大河ユーフラテスに至るまで、かつてエジプトの王に属していた全領土を占領したからである。

24:8 エホヤキンは十八歳で王となり、エルサレムで三か月間、王であった。彼の母の名はネフシュタといい、エルサレム出身のエルナタンの娘であった。

24:9 彼は、すべて先祖たちがしたように、の目に悪であることを行った。

24:10 そのころ、バビロンの王ネブカドネツァルの家来たちがエルサレムに攻め上り、都は包囲された。

24:11 バビロンの王ネブカドネツァルが都にやって来たとき、彼の家来たちは都を包囲していた。

24:12 ユダの王エホヤキンは、その母、家来たち、高官たち、宦官たちと一緒にバビロンの王に降伏したので、バビロンの王は、その治世の第八年に、彼を捕虜にした。

24:13 バビロンの王は、の宮の財宝と王宮の財宝をことごとく運び出し、の神殿の中にあるイスラエルの王ソロモンが作ったすべての金の用具を切り裂いた。が告げられたとおりであった。

24:14 彼はエルサレムのすべて、すなわち、すべての高官、すべての有力者一万人、それに職人や鍛冶もみな、捕囚として捕らえ移した。貧しい民衆のほかは残されなかった。

24:15 彼はさらに、エホヤキンをバビロンへ引いて行き、王の母、王の妻たち、その宦官たち、この国のおもだった人々を、捕囚としてエルサレムからバビロンへ行かせた。

24:16 バビロンの王は、すべての勇士たち七千人と、職人、鍛冶千人からなる勇敢な戦士たちすべてを、捕囚としてバビロンへ連れて行った。

24:17 バビロンの王は、エホヤキンのおじマタンヤをエホヤキンの代わりに王とし、その名をゼデキヤと改めさせた。

24:18 ゼデキヤは二十一歳で王となり、エルサレムで十一年間、王であった。彼の母の名はハムタルといい、リブナ出身のエレミヤの娘であった。

24:19 彼は、すべてエホヤキムがしたように、の目に悪であることを行った。

24:20 実に、エルサレムとユダが主の前から投げ捨てられるに至ったのは、の怒りによることであったのである。その後、ゼデキヤはバビロンの王に反逆した。

Ⅱ列王

[ 25 ]

25:1 ゼデキヤの治世の第九年、第十の月の十日に、バビロンの王ネブカドネツァルは、その全軍勢を率いてエルサレムを攻めに来て、これに対して陣を敷き、周囲に塁を築いた。

25:2 こうして都はゼデキヤ王の第十一年まで包囲されていた。

25:3 第四の月の九日、都の中で食糧難がひどくなり、民衆に食物がなくなった。

25:4 そのとき、都は破られ、戦士たちはみな夜のうちに、王の園に近い二重の城壁の間にある、門の道から出て行った。カルデア人が都を包囲していたので、王はアラバへの道を進んだ。

25:5 カルデアの軍勢は王の後を追い、エリコの草原で彼に追いついた。すると、王の軍隊はみな王から離れて散ってしまった。

25:6 カルデアの軍勢は王を捕らえ、リブラにいるバビロンの王のところに彼を連れ上り、彼に宣告を下した。

25:7 彼らはゼデキヤの息子たちを彼の目の前で虐殺した。王はゼデキヤの目をつぶし、青銅の足かせをはめて、バビロンへ連れて行った。

25:8 第五の月の七日、バビロンの王ネブカドネツァル王の第十九年のこと、バビロンの王の家来、親衛隊の長ネブザルアダンがエルサレムに来て、

25:9 の宮と王宮とエルサレムのすべての家を焼き、そのおもだった建物をことごとく火で焼いた。

25:10 親衛隊の長と一緒にいたカルデアの全軍勢は、エルサレムを取り巻く城壁を打ち壊した。

25:11 親衛隊の長ネブザルアダンは、都に残されていた残りの民と、バビロンの王に降伏した投降者たちと、残りの群衆を捕らえ移した。

25:12 しかし、親衛隊の長はその地の貧しい民の一部を残し、ぶどうを作る者と農夫にした。

25:13 カルデア人は、の宮の青銅の柱と、車輪付きの台と、の宮にある青銅の「海」を砕いて、その青銅をバビロンへ運んだ。

25:14 また、灰壺、十能、芯取りばさみ、平皿、奉仕に用いるすべての青銅の器具を奪った。

25:15 また親衛隊の長は、火皿、鉢など、純金や純銀のものを奪った。

25:16 ソロモンがの宮のために作った二本の柱、一つの「海」、車輪付きの台、これらすべての物の青銅の重さは、量りきれなかった。

25:17 一本の柱の高さは十八キュビト、その上の柱頭は青銅、その柱頭の高さは三キュビトであった。柱頭の周りに格子細工とざくろがあって、すべて青銅であった。もう一つの柱も、格子細工もこれと同様であった。

25:18 親衛隊の長は、祭司のかしらセラヤと次席祭司ゼパニヤと三人の入り口を守る者を捕らえ、

25:19 戦士たちの指揮官であった一人の宦官、都にいた王の五人の側近、民衆を徴兵する軍の長の書記、そして都にいた民衆六十人を、都から連れ去った。

25:20 親衛隊の長ネブザルアダンは彼らを捕らえ、リブラにいるバビロンの王のところへ連れて行った。

25:21 バビロンの王はハマテの地のリブラで、彼らを打ち殺した。こうして、ユダはその国から捕らえ移された。

25:22 バビロンの王ネブカドネツァルは、彼が残したユダの地の残りの民の上に、シャファンの子アヒカムの子ゲダルヤを総督として任命した。

25:23 軍の高官たちとその部下たちはみな、バビロンの王がゲダルヤを総督としたことを聞いて、ミツパにいるゲダルヤのもとに来た。それは、ネタンヤの子イシュマエル、カレアハの子ヨハナン、ネトファ人タンフメテの子セラヤ、マアカ人の子ヤアザンヤ、彼らとその部下たちであった。

25:24 ゲダルヤは彼らとその部下たちに誓って、彼らに言った。「カルデア人の家来たちを恐れてはならない。この地に住んで、バビロンの王に仕えなさい。そうすれば、あなたがたは幸せになる。」

25:25 ところが第七の月に、王族の一人、エリシャマの子ネタンヤの子イシュマエルは、十人の部下とともに来て、ゲダルヤを打ち殺し、ミツパで彼と一緒にいたユダの人たちとカルデア人たちを打ち殺した。

25:26 そこで民はみな、身分の下の者から上の者まで、軍の高官たちとともに、立ってエジプトへ行った。カルデア人を恐れたからである。

25:27 ユダの王エホヤキンが捕らえ移されて三十七年目の第十二の月の二十七日、バビロンの王エビル・メロダクは、王となったその年のうちにユダの王エホヤキンを牢獄から呼び戻し、

25:28 優しいことばをかけ、バビロンで彼とともにいた王たちの位よりも、彼の位を高くした。

25:29 彼は囚人の服を脱ぎ、その一生の間、いつも王の前で食事をした。

25:30 彼の生活費はその日々の分を、一生の間、いつも王から支給されていた。