詩篇143編

ダビデの賛歌。

143:1 主よ私の祈りを聞き私の願いに耳を傾けてください。あなたの真実と義によって私に答えてください。

 真実と義によって応えてくださることを願いました。この真実は、契約を守る方として真実です。義は、信仰に対して義とする義です。

143:2 あなたのしもべをさばきにかけないでください。生ける者はだれ一人あなたの前に正しいと認められないからです。

 しもべと一緒に評決に行かないでください。すなわち、規定に従って評決を下すことをしないでくださいという意味です。規定どおりに裁かれたならば、彼は罪ある者とされます。しかし、主には、彼を裁く権威があり、彼が正しく歩んでいたとしても、無罪とはされません。

・「裁き」→「評決」、「規定」。

143:3 敵は私のたましいを追いつめ私のいのちを地に打ちつけ死んで久しい者のように私を闇にとどめます。

 ここには、彼が置かれた状況が言い表されています。敵は、彼のたましいを追い詰めていました。たましいと言い表すことで、彼は、信仰による歩みが躓きそうであることを危惧していました。敵の攻撃によって、彼のたましいが影響を受けていたのです。その結果、いのちが失われる結果となります。このいのちは、霊的ないのちのことで、御心を行うことで主と一つになって生きることであり、義の実を結ぶことです。そして、御国において報いを受けることです。それが、霊的ないのちであることは、「闇にとどめる」という表現によって分かります。肉体の死のことでありません。闇は、御言葉の光ない状態で、御心を行うことのない霊的死の状態です。

143:4 それゆえ私の霊は私のうちで衰え果て心は私の中で荒れすさんでしまいました。

 それですから、彼の霊は、彼のうちで衰え果てたのです。霊は、神の言葉を受け入れる座です。神の言葉に信頼して歩むことができなくなっているのです。心とも表現されていますが、これも、御言葉を受け入れ、従う部分を表しています。そこが荒れ果てたのです。

143:5 私は昔の日々を思い起こしあなたのすべてのみわざに思いを巡らしあなたの御手のわざを静かに考えています。

 そのような中で彼がしたことは、昔の日々を思い起こすことです。彼が思いめぐらしたことは、御手の業です。静かに考えていることは、感情によらず、主が何をなさったかを考えているのです。

143:6 あなたに向かって私は手を伸べ広げ私のたましいは乾ききった地のようにあなたを慕います。セラ

 その時、彼がしたことは、主に向かって手を伸ばし、祈ることです。静かに御業に思いを巡らすことで、主がこの上なく慕わしく思えるのです。彼は、再び主に従った歩みたいとそのたましいが渇望しました。それは、乾ききった地が水を求めるようです。

143:7 主よ早く私に答えてください。私の霊は滅びてしまいます。どうか御顔を私に隠さないでください。私が穴に下る者と等しくならないように。

 彼は、主が早く答えてくださることを願いました。そうしないと、霊が滅びてしまいますと。霊は、神の言葉を受け入れる座です。神の言葉に信頼して今祈り求めているのです。しかし、何の答えもないとしたら、信仰が揺らぐのです。それで、御顔を向け、隠さないように求めました。そうしないと、穴に下る者たちのように望みのない者になってしまいます。主が信仰に応えてくださることこそ、主を知らない者たちとの違いなのです。

143:8 朝にあなたの恵みを聞かせてください。私はあなたに信頼していますから。行くべき道を知らせてください。私のたましいはあなたを仰いでいますから。

 朝には、光が届けられるように、主が契約を忠誠をって果たされることを聞かせてくださることを願いました。信仰に応えて、事をなすことは、契約の条項です。そして、従っていく者に応え実を結ばせ、永遠の報いを備えることは、契約です。それで、行くべき道を教えてくださるように願いました。たましいは、主を仰いでいて、その知らされた道に従う用意ができているのです。たましいは、御言葉に従う座です。そのように示された御心に従うことで、豊に報いを備えることが契約を果たすことであるのです。

・「恵み」→契約に対する忠誠。

143:9 主よ私を敵から救い出してください。私はあなたのうちに身を隠します。

 彼は、敵からの救いを求めました。それは、神の御心を行うことと対比されています。それを妨げる敵である悪魔の働きがあるのです。彼は、その敵からの攻撃や誘惑から身を避け、主に身を隠しました。

 ここには、敵について記されていますが、前節と次節で、主の御心を行うことが主題として語られていますので、その敵は、それを妨げる働きのことを言っています。

143:10 あなたのみこころを行うことを教えてください。(なぜならば)あなたは私の神であられますから。あなたのいつくしみ深い霊が平らな地に私を導いてくださいますように。

 主の御心を行うことを教えてくださることを願いました。その理由は、主が彼の神であられるからです。それが、主権者としての神にふさわしいことであるからです。そして、彼を主の良い霊が正しいところへ導いてくださることを願いました。

・「慈しみ深い」→良い。神の目に適った。

・「平らな地」→正しさ。

143:11 主よあなたの御名のゆえに私を生かしあなたの義によって私のたましいを苦しみから助け出してください。

 主を信じ、主を求める者に主がその御名のゆえに応えることは、主の御名の栄光のためです。その御名は、義です。たましいが苦しみの中にも従う歩みをご覧になられて、その歩みを義とすることは、義である御名にふさわしいのです。それゆえ、助け出すのです。

143:12 あなたの恵みによって私の敵を滅ぼし私のたましいに敵対するすべての者を消し去ってください。私はあなたのしもべですから。

 彼が敵と言い表しているのは、彼のたましいに敵対する全てのもののことです。彼が主の言葉に従って歩むことを妨げるものです。それを消し去ってくださるように願いました。それをしてくださるのは、契約によることであり、主は、それを徹底的に果たされるのです。

 主がそのように応えてくださるのは、彼が、神の栄光を現すためのしもべであるからです。そのしもべがさらに御名の栄光を現すように用いてくださることを願っています。