詩篇132篇

都上りの歌。

132:1 主よダビデのために彼のすべての苦しみを思い出してください。

 これは、ダビデの歌ではなく、神殿が建てられた時、ソロモンが歌った歌です。八節からの言葉は、神殿完成後、神の箱を運び入れる際、ソロモンが祈った祈りの一部です。この詩の全体も、神殿を捧げる時のことを歌っています。

 歴史書には、記されなかった部分がここには、記されています。

歴代誌第二

6:41 今、神、主よ、立ち上がってください。あなたの休み所にお入りください。あなたとあなたの御力の箱も。神、主よ、あなたの祭司たちが救いを身にまとい、あなたにある敬虔な人たちが、いつくしみを喜びますように。

6:42 神、主よ、あなたに油注がれた者たちの顔を退けないでください。あなたのしもべダビデの誠実な行いの数々を思い起こしてください。」

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 まず祈ったことは、ダビデの全ての苦しみを思い出してくださることです。この苦しみについては、次節以降記されています。

132:2 彼は主に誓いヤコブの力強き方に誓いを立てました。

 ダビデは、主に誓いました。

132:3 「私は決して私の家の天幕に入りません。私のために備えられた寝床にも上がりません。

132:4 私の目に眠りを与えません。私のまぶたにまどろみさえ。

132:5 主のために一つの場所をヤコブの力強き方のために御住まいを私が見出すまでは。」

 彼は、主の御住まいを見出すまで、自分の家の天幕に入らないこと、自分のための寝床に上がらないこと、目に眠りを与えないこと、微睡むことさえしないことです。この誓いを果たすことは、不可能です。眠らないことには限界があります。それで、これは、比喩です。それほどまでに自らに苦しみを課して、主のための御住まいを見出そうとしました。

 そのことを覚えて、今、建設し、捧げられようとしている神殿を受け入れてくださることを願ったのです。

132:6 今や私たちはエフラテでそれを聞きヤアルの野でそれを見出した。

 それは、実現しました。はじめエフラテで聞かれました。そこは、ベツレヘムのことです。それは、ダビデの誕生によって始まりました。宮の建設の意思は、ダビデの生涯の初期からのものです。

 神殿の場所は、エルサレムに決まりました。そこは、森と関連づけられています。元々木々のあるユダの山地ですが、自生の木は用いられませんでした。レバノンの杉が用いられました。それは、主イエス様を表しています。

・「ヤアルの野」→森、あるいは、木々の取れる土地。

132:7 さあ主の住まいに行き主の足台のもとにひれ伏そう。

 ソロモンは、それを主の御住まいとして建てました。彼は、主がそのような人の手による建物に住むことがないことは承知していましたが、ここでは、イスラエルと共に常におられる方としてそう表現しています。

 それは、主の足台です。主が立たれて力を発揮する土台となるものです。

 そのような方を覚えて、その御下にひれ伏そうと言い表しています。

132:8 主よ立ち上がってください。あなたの安息の場所にお入りください。あなたとあなたの御力の箱も。

 主が立ち上がり、神殿に入っていただくことを願いました。そこを主の安息の場所と言い表しています。イスラエルと共におることで安息を覚えることができることが期待されています。主ご自身の言葉として、十四節には、ここが安息の場所であると言い表されています。

 また、神の箱については、主の御力の箱と言い表されてます。その箱は、契約を意味しています。主は、契約を守る者に対して、契約を忠誠をもって果たし、契約に背く者に対して呪いをもたらされます。この契約は、主が御力を発動する基点になるものです。

132:9 あなたの祭司たちが義をまといあなたにある敬虔な者たちが喜び歌いますように。

 主にとってそこが安息の場所であるためには、そこに仕える祭司たちは、義である必要があります。そして、人々は、敬虔である必要があるのです。主御自身を喜び歌う敬虔な者であることです。

132:10 あなたのしもべダビデのためにあなたに油注がれた者を退けないでください。

 そして、ソロモンは、主に仕える者として、主が受け入れてくださることを願いました。自分は、ダビデのために油注がれた者であると言い表し、ダビデに対する契約のゆえに、そして、主によって選ばれた者として主が受け入れてくださることを願ったのです。

132:11 主はダビデに誓われた。それは主が取り消すことのない真実。「あなたの身から出る子をあなたの位に就かせる。

132:12 もしあなたの子らがわたしの契約とわたしが教えるさとしを守るなら彼らの子らもとこしえにあなたの位に就く。」

 そして、ダビデに誓われたことを引き合いに出しました。それは、誓いとして取り消すことのない真実と言い表しています。

 その誓いは、ダビデの身から出る者がダビデの位に就くことです。さらに、ダビデの子たちが、契約と主が教えるさとしを守るならば、ダビデの子がとこしえにダビデの位に就くことです。

 このような確かな誓いに基づいて、ダビデの位に就く者とされたので、退けることがないように求めています。

 また、主の契約と教えに従うことが条件とされていますので、ソロモン自身は、主の言葉に従う決意でいるのです。

132:13 (なぜならば)主はシオンを選びそれをご自分の住まいとして望まれた。

 そして、ダビデの子が王位につくことに関して、主は、シオンを選び、ご自分の住まいとして望まれたからであることを主の言葉として記しました。その子が神殿を建てるためです。

132:14 「これはとこしえにわたしの安息の場所。ここにわたしは住む。(なぜならば)わたしがそれを望んだから。

 主は、シオンをとこしえに安息の場所であるとされました。そこにいつまでも住まわれるのです。そのことは、主が望まれたことです。

・「これ」→シオンを指す。単数女性代名詞。

132:15 わたしは豊かにシオンの食物を祝福しその貧しい者をパンで満ち足らせる。

 主は、シオンの食物を祝福されます。主は、シオンの主を求める者をバンで満ちたらせます。パンは、真の食物であるイエス様の比喩です。なお、貧しいから満ちたらせるのではなく、主を求める者であるから満ちたらわせられるのです。

・「食物」→弁当。狩猟の弁当。食べ物。狩猟。

・「貧しい者」→主を求める者。

132:16 その祭司たちに救いをまとわせる。その敬虔な者たちは高らかに喜び歌う。

 シオンの祭司たちには、救いを纏わせます。ソロモンは、祭司が義を纏うことを願いましたが、主は、彼らが義を纏い、それが彼らの永遠の報いとしての祝福を受け継ぐことになるので、救いと表現しています。

 シオンの敬虔な者たちは、喜び歌います。それは、ソロモンが求めたことですが、主の言葉は、「高らかに」喜び歌うと表現されています。

132:17 そこにわたしはダビデのために一つの角を生えさせる。わたしに油注がれた者のためにともしびを整える。

 そして、ソロモンを退けないように求めたことに対して、主は、ダビデのために一つの角を生えされせると言われます。角は、権威を表しています。ダビデのために彼が王として治めるのです。

 主は、ご自分が油注いだ者のために、ともしびを整えます。ともしびは、彼を導く光です。主ご自身が教えて導かれます。

132:18 わたしは彼の敵に恥をまとわせる。しかし彼の上には王冠が光り輝く。」

 そして、王の敵には、恥を纏わせます。また、彼の上には、王冠が光り輝きます。王冠は、支配の権威を表しています。また、彼の受ける誉を表しています。それは、光り輝くとあるように、彼は、大いなる者として栄光を受けることになります。