出エジプト記37章
34:1 主はモーセに言われた。「前のものと同じような二枚の石の板を切り取れ。わたしはその石の板の上に、あなたが砕いたこの前の石の板にあった、あのことばを書き記す。
34:2 朝までに準備をし、朝シナイ山に登って、その山の頂でわたしの前に立て。
主は、もう一度石の板に戒めの言葉を書き記すため、モーセにそのための石を用意するように命じました。
34:3 だれも、あなたと一緒に登ってはならない。また、だれも、山のどこにも人影があってはならない。また、羊でも牛でも、その山のふもとで草を食べていてはならない。」
34:4 そこで、モーセは前のものと同じような二枚の石の板を切り取り、翌朝早く、主が命じられたとおりにシナイ山に登った。彼は手に二枚の石の板を持っていた。
山には、モーセ以外近づいてはなりませんでした。前の時には、ヨシュアが共に上りましたが、今回は、モーセ以外の人が上らないように命じられました。
34:5 主は雲の中にあって降りて来られ、 彼とともにそこに立って、主の名を宣言された。
34:6 主は彼の前を通り過ぎるとき、こう宣言された。「主、(神である)主は、あわれみ深く、情け深い神。怒るのに遅く、恵みとまことに富み、
34:7 恵みを千代まで保ち、咎と背きと罪を赦す。しかし、罰すべき者を必ず罰して、父の咎を子に、さらに子の子に、三代、四代に報いる者である。」
主は、まず、ご自分の名を宣言されました。主という語が二回繰り返されています。この御名は、契約の履行者を表しています。訳出されていませんが、二回目の「主」は、「神である主」と語られています。続く内容も、契約を果たすことが中心です。支配者である神として罰すべきものを罰することも語られますが、契約を果たすことに重点が置かれて語られています。
この方は、同情心に富み、求める者に喜んで答える方です。怒るのに遅く、契約を忠誠をもって果たし、真実であられます。このように、主は、人の弱さすなわち罪深さをご存知です。ですから、怒るのに遅いのですが、契約を守る者に対して、契約を忠誠をもって果たし、常に真実なのです。
恵みすなわち契約を忠誠をもって果たすことは、千代にも及びます。これは、限りないことの比喩です。咎と罪を赦します。ただし、罰すべきものは罰します。その罰は、四代までです。
・「あわれみ深い」→(同情心から)あわれみ深い。
・「情け深い」→求める者に喜んで答える神の性質。
・「恵み」→契約に対する忠誠。
・「まこと」→真実。
34:8 モーセは急いで地にひざまずき、ひれ伏した。
34:9 彼は言った。「ああ、主よ。もし私がみこころにかなっているのでしたら、どうか主が私たちのただ中にいて、進んでくださいますように。確かに、この民はうなじを固くする民ですが、どうか私たちの咎と罪を赦し、私たちをご自分の所有としてくださいますように。」
彼は、主が民の只中にいて進んでくださることについてもう一度求めました。その根拠は、彼が主の目に適っていることです。そして、もう一つの根拠を付け加えました。それは、今しがた主が宣言された主の御名です。咎と罪を赦すという点です。
34:10 主は言われた。「今ここで、わたしは契約を結ぼう。わたしは、あなたの民がみないるところで、地のどこにおいても、また、どの国においても、かつてなされたことがない奇しいことを行う。あなたがそのただ中にいるこの民はみな、主のわざを見る。わたしがあなたとともに行うことは恐るべきことである。
34:11 わたしが今日あなたに命じることを守れ。見よ、わたしは、アモリ人、カナン人、ヒッタイト人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人を、あなたの前から追い払う。
これは、契約によってもたらされる祝福の部分です。それは、モーセが共にいる民の目の前で、奇しい、恐るべき主の業を見ることです。具体的には、六つの民族を追い払うことです。
34:12 あなたは、あなたが入って行くその地の住民と契約を結ばないように注意せよ。それがあなたのただ中で罠とならないようにするためだ。
そのための契約の条項です。
一、その地の民と契約を結ばないこと。
それは、罠となるからです。
34:13 いや、あなたがたは彼らの祭壇を打ち壊し、彼らの石の柱を打ち砕き、アシェラ像を切り倒さなければならない。
34:14 あなたは、ほかの神を拝んではならない。主は、その名がねたみであり、ねたみの神であるから。
二、祭壇、石の柱、偶像を破壊し、それらを拝んではならないこと。
祭壇は、直接の礼拝行為。石は、偶像の教えの象徴。石は、教えの比喩です。これらは、人の手の作である偶像よりも重要です。
34:15 あなたはその地の住民と契約を結ばないようにせよ。彼らは自分たちの神々と淫行をし、自分たちの神々にいけにえを献げ、あなたを招く。あなたは、そのいけにえを食べるようになる。
34:16 彼らの娘たちをあなたの息子たちの妻とするなら、その娘たちは自分たちの神々と淫行を行い、あなたの息子たちに自分たちの神々と淫行を行わせるようになる。
三、その地の住民と契約を結び、交わることをしないこと。繰り返し。
それが偶像礼拝につながるからです。
34:17 あなたは、自分のために鋳物の神々を造ってはならない。
四、自分のために鋳物の神々を造ってはならないこと。
ここまでは、契約の禁止条項です。
34:18 あなたは種なしパンの祭りを守らなければならない。アビブの月の定められた時に七日間、わたしが命じた種なしパンを食べる。あなたはアビブの月にエジプトを出たからである。
ここからは、実行すべき契約条項です。
一、種なしパンの祭りを守らなければならない
清い歩みをすることです。
34:19 最初に胎を開くものはすべて、わたしのものである。あなたの家畜の雄の初子はみな、牛も羊もそうである。
34:20 ただし、ろばの初子は羊で贖わなければならない。もし贖わないなら、その首を折る。また、あなたの息子のうち長子はみな、贖わなければならない。だれも、何も持たずに、わたしの前に出てはならない。
二、初子を捧げること。
初子を捧げることは、エジプトへの裁きに基づいています。このとき、全ての初子は、神のものとされましたが、イスラエルは、過越の羊の血によって死を免れたのです。それを覚えることになります。
主の前に出るときは、その人自身が受け入れられるために、何かを持って出なければならないのです。その人の代わりに受け入れられる方が必要なのです。
これらにより、神の贖いの業を覚えることが求められています。
34:21 あなたは六日間は働き、七日目には休まなければならない。耕作の時にも刈り入れの時にも、休まなければならない。
三、安息日を守ること。
神が天地の創造者であることを安息日を守ることで告げ知らせます。
34:22 小麦の刈り入れの初穂のためには七週の祭りを、年の変わり目には収穫祭を行わなければならない。
四、初穂の祭り、収穫祭を守ること。
これは、キリストのよみがえりの比喩です。収穫祭は、実が結ばれる祝福の比喩です。これは、信者の歩みの比喩にもなっていて、新しく生まれた者が、豊かな実を結ぶことの比喩です。その完全な模範となっているのがキリストです。
34:23 年に三度、男子はみな、イスラエルの神、主、主の前に出なければならない。
34:24 わたしがあなたの前から異邦の民を追い出し、あなたの国境を広げるので、あなたが年に三度、あなたの神、主の前に出ようとして上って行くときも、あなたの地を欲しがる者はだれもいない。
五、男子は、年に三度主の前に出る。
主は、イスラエルにとって尊い方であり、年に三度その前に出るべき慕わしい方であること、また、敬うべき方であるとこを示しました。
・「主」→アドナイ。(私の)主。
・「主」→ヤァウェ。存在者、契約の履行者。
・「神」→支配者。恐るべき方。
34:25 わたしへのいけにえの血を、種入りのパンに添えて献げてはならない。また、過越の祭りのいけにえを朝まで残しておいてはならない。
六、捧げ物に関して守るべきこと。
捧げ物の型をきちんと守らなければならないのです。
捧げ物のパンにパン種が入っていてはいけません。そのいけにえの血は、キリストの血を表し、パンは、キリストの人性を表します。聖い方であることがパンによって現されなければならないのです。
過越の祭りのいけにえは、火で焼いて食べます。それは、火は、神の評価を表しています。神の評価をもって受け入れることが必要なのです。例えば、この方を人であるかのように受け入れてはならないのです。神の御子です。神の前に傷のない独り子の御子です。その方の血によって裁きを免れるのです。朝まで残し、一部を受け入れなようなことがあってはならないのです。完全に受け入れるのです。
34:26 あなたの土地から取れる初穂の最上のものを、あなたの神、 主の家に持って来なければならない。あなたは子やぎをその母の乳で煮てはならない。 」
七、初穂の最上のものを捧げること、子山羊をその母の乳で煮てはならないこと。
初穂の最上の物は、御子の比喩です。それは、神に捧げられなければなりません。人の食欲のために自分のものとしてはならないのです。父神にとって、御子は、この上ない最上の喜ばしい存在なのです。
母にとっては、子は、愛すべきもの。それを、自分の乳で煮る残酷をなしてはならないのです。それは、父なる神にとって、御子が愛する存在であることを表しています。その父にとって悲しむべきことをしてはならないのです。しかし、父は、贖いのためには、御子を打たれました。その張り裂けんばかりの心の痛みを味わいつつ、御業を全うされたのです。
34:27 主はモーセに言われた。「これらのことばを書き記せ。わたしは、これらのことばによって、あなたと、そしてイスラエルと契約を結んだからである。」
これが契約の条項です。
34:28 モーセはそこに四十日四十夜、主とともにいた。彼はパンも食べず、水も飲まなかった。そして、石の板に契約のことば、十のことばを書き記した。
モーセは、十の言葉を書き記しました。
34:29 それから、モーセはシナイ山から下りて来た。モーセが山を下りて来たとき、その手に二枚のさとしの板を持っていた。モーセは、主と話したために自分の顔の肌が輝きを放っているのを知らなかった。
彼は、主との交わりをとおして、光を放つ者となりました。それは、神の栄光の現れでした。彼は、神の言葉を取り継ぐ者として、神の権威でそれを語るのです。その権威にふさわしい栄光が与えられました。
34:30 アロンと、イスラエルの子らはみなモーセを見た。なんと、彼の顔の肌は輝きを放っていた。それで彼らは彼に近づくのを恐れた。
34:31 モーセが彼らを呼び寄せると、アロンと、会衆の上に立つ族長はみな彼のところに戻って来た。モーセは彼らに話しかけた。
34:32 それから、イスラエルの子らはみな近寄って来た。彼は主がシナイ山で告げられたことを、ことごとく彼らに命じた。
モーセは、シナイ山で命じられたことをそこで語ったのです。彼らは、その顔の輝きを見たのです。そして、恐れたのです。彼の言葉を神の言葉として聞いたのです。
34:33 モーセは彼らと語り終えると、 顔に覆いを掛けた。
34:34 モーセが主と語るために主の前に行くとき、彼はその覆いを外に出て来るまで外していた。 外に出て来ると、 命じられたことをイスラエルの子らに告げた。
34:35 イスラエルの子らがモーセの顔を見ると、モーセの顔の肌は輝きを放っていた。 モーセは、 主と語るために入って行くまで、 自分の顔に再び覆いを掛けるのを常としていた。
彼は、主の前から出てきて、語るとき、その顔が輝いていました。彼は、主の権威によって語ったのです。