詩篇60篇
指揮者のために。「さとしは、ゆりの花」の調べにのせて。教えのためのダビデのミクタム。ダビデがアラム・ナハライムやアラム・ツォバと戦っていたとき、ヨアブが帰って来て、塩の谷でエドムを一万二千人打ち殺したときに。
この詩は、教えのためのものです。ミクタムは、「錆びる」から派生した彫刻を意味しています。これは、詩篇16篇、56篇~60篇がそれに属し、困難の中での救いの歌として歌われています。いずれも、神がその義に従って栄光を現されることに依り頼んでいます。なお、これは、技術的な主題で、神の栄光の現れにより頼むことにふさわしい形式と考えられます。
調べについては、詩の主題と関係しています。これは、教えのための詩です。それにふさわしい調べとして、「さとしは、ゆりの花」が使われました。さとしは、教えのことです。元の歌については、記載がありませんが、ゆりの花は、さとしを表すものとして表現されています。雅歌や、神殿の記述にゆりの花を見ることができますが、さとしを表しています。
アラム・ナハライムは、ラバンが住んでいたところです。アラム・ツォバもアラムの土地で、イスラエルの北の地域で、ユーフラテス川より北です。エドムは、イスラエルの南です。当初は、ヨアブは、南で戦っていました。そして、ダビデのもとに帰ってきたのです。ヨアブは、エドムを一万二千人を打ちましたので、南の守りについては、心配ない状況でした。
60:1 神よあなたは私たちを拒み私たちを破られました。あなたは怒られました。どうか私たちを回復させてください。
詩の初めは、ダビデが当面している困難からの救いを求める祈りです。
ダビデは、非常に困難な状況に置かれました。彼は、アラムと戦っていました。彼は、主に拒まれた如くに敵に破られました。
ダビデは、神の怒りと受け止めています。彼の求めたものは、回復です。
60:2 あなたは地を揺るがし引き裂かれました。その裂け目を癒やしてください。地が揺れ動いているからです。
60:3 あなたは御民を苦しい目にあわせよろめかす酒を私たちに飲ませられました。
それは、地を揺るがし、引き裂くが如くです。小さな出来事ではありませんでした。地震で地が揺れ裂けるように、民が揺るがされているのです。
ダビデは、その状況に対して、それは、「御民を」苦しい目に合わせることとして取り上げています。彼は、苦しみの中で不信仰になっていたのではありません。神の民として従っていく中で、それでもこのような苦しみを経験するのです。
そのことはまた、よろめかす酒を飲ませられたようです。歩みがふらつくのです。地が揺るがされたこともそうです。裂け目があれば、まともに歩めないのです。それを癒やしてくださることを願いました。これら一連の表現は、比喩です。それは、歩みを揺るがすものです。
60:4 あなたはあなたを恐れる者に旗を授けられました。弓から逃れた者をそこに集めるために。セラ
戦いは困難でした。しかし、戦っている者たちは、主を恐れる者たちです。主は、彼らに旗を授けられました。旗は、しるしです。神が与えた旗ですから、比喩です。主を恐れる者であり、弓から逃れた者たちが一つに集まるためのものです。そうすると、そのしるしは、目に見えるようなものではなく、皆が堅く踏みとどまることができる教えです。
その教えは、具体的には、六節以降の神の言葉です。ダビデは、次の節では、それを根拠に主の助けを祈り求めています。
60:5 あなたの愛する者たちが助け出されるようあなたの右の手で救い私に答えてください。
彼は、それを踏まえて祈っているのです。六節は、祈りに答えての言葉ではなく、既に与えらていたものです。
彼は、彼らが神にとって愛する者たちであることを言い表し、神が力を現されて救ってくださることを願いました。
それがダビデの願いであり、それを求めました。
60:6 神は聖所から告げられました。「わたしは喜んでシェケムを分けスコテの平原を測ろう。
神の告げたことは、シェケムとスコテの平原を測ることです。測ることは、神のものとして測り、神の民への割当のためです。
60:7 ギルアデはわたしのもの。マナセもわたしのもの。エフライムはわたしの頭のかぶと。ユダはわたしの王笏。
そして、ギルアデ、マナセは、放牧に適した所ですが、それは、神のものと言い表され、神の所有地であり、何人にも侵させないということです。
エフライムについては、御自分の兜としての役割を与え、ユダには、王の支配権を与えました。
60:8 モアブはわたしの足を洗うたらい。エドムの上にわたしの履き物を投げつけよう。ペリシテよわたしのゆえに大声で叫べ。」
モアブは、死海の岸にありますが、水をたたえたたらいと表現し、それも、神様が足を洗うためだと言われ、御自分の支配のもとにある器に過ぎないことを示されました。
また、エドムに対しては、履物を投げつけ、決して頭をもたげさせないことを示されました。
ペリシテは、神の力を見て、大声で叫ぶのです。
60:9 だれが私を防備の町に連れて行くのでしょうか。だれが私をエドムまで導くのでしょうか。
彼は、敵に打たれた中にあります。ヨアブが来ましたが、神の言葉のとおりに、彼を防備の町に導き、この北の地での勝利の後、南のエドムに導くのは誰でしょうと言っています。それは、神以外にいないのです。
60:10 神よあなたご自身が私たちを拒まれるのですか。神よあなたはもはや私たちとともに出陣なさらないのですか。
それなのに、今の状況からは、神が拒んでおられるかのようです。神が共にいて出陣してくださるとは思えないような状況なのです。
60:11 どうか敵から私たちを助けてください。人による救いはむなしいからです。
それで、改めてに祈っています。敵から助けてくださることです。人の救いは、虚しいのです。
60:12 神にあって私たちは力ある働きをします。神が私たちの敵を踏みつけてくださいます。
敵に対する勝利は、神によります。人を用いて働きをされますが、力強い働きは、神によります。
詩篇16篇
ダビデのミクタム。
16:1 神よ私をお守りください。私はあなたに身を避けています。
詩篇56篇
指揮者のために。「遠くの人の、もの言わぬ鳩」の調べにのせて。ダビデによる。ミクタム。ペリシテ人がガテでダビデを捕らえたときに。
56:1 神よ私をあわれんでください。人が私を踏みつけ一日中戦って私を虐げているからです。
56:2 私の敵は一日中私を踏みつけています。高ぶって私に戦いを挑む者が多いのです。
詩篇57篇
指揮者のために。「滅ぼすな」の調べで。ダビデによる。ミクタム。ダビデがサウルから逃れて洞窟にいたときに。
57:1 私をあわれんでください。神よ。私をあわれんでください。私のたましいはあなたに身を避けていますから。私は滅びが過ぎ去るまで御翼の陰に身を避けます。
57:2 私はいと高き方神を呼び求めます。私のためにすべてを成し遂げてくださる神を。
詩篇58篇
指揮者のために。「滅ぼすな」の調べで。ダビデによる。ミクタム。
58:1 力ある者たちよおまえたちは本当に義を語り人の子らを公正にさばくことができるのか。
58:2 実におまえたちは心で不正を働き地で手の暴虐をはびこらせている。
詩篇59篇
指揮者のために。「滅ぼすな」の調べで。ダビデによる。ミクタム。ダビデを殺そうとサウルが人々を遣わし、彼らがその家の見張りをしたときに。
59:1 私の神よ私を敵から救い出してください。向かい立つ者たちよりも高く私を引き上げてください。
59:2 不法を行う者どもから私を救い出してください。人の血を流す者どもから私を救ってください。
59:3 今しも彼らは私のたましいを待ち伏せし力ある者どもは私に襲いかかろうとしています。主よそれは私の背きのゆえでもなく私の罪のゆえでもありません。