詩篇12篇

指揮者のために。第八の調べにのせて。ダビデの賛歌。

12:1 主よお救いください。敬虔な人は後を絶ち誠実な人は人の子らの中から消え去りました。

 敬虔な人と、誠実な人が人の子らの中から姿を消しました。これは、人が悪い者になったというよりも、敬虔な人また誠実な人が押しやられ、顧みられなくなったことを表しています。敬虔に歩むことが評価されなければ、そのような人たちは、姿を消すことになります。

12:2 人は互いにむなしいことを話しへつらいの唇と二心で話します。

 そして、勢力を伸ばしている者たちは、虚しいことを話しています。空しいことは、真理と対比して空しいことなのです。

テモテ第一

1:4 果てしない作り話(空想話)と系図に心を寄せたりしないように命じなさい。そのようなものは、論議を引き起こすだけで、神に委ねられた信仰の務めを実現させることにはなりません。

4:7 俗悪で愚にもつかない作り話(空想話)を避けなさい。むしろ、敬虔のために自分自身を鍛錬しなさい。

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 作り話あるいは空想話と訳されている語は、真理に見せかけた嘘です。

 また、へつらいの唇で話します。これは、人を騙すための手段です。人を言葉で騙すときには、強い言葉を使うようなことはしません。相手に取り入るようなへつらいの言葉を使うのです。

 そして、二心で話します。真実を話さないのです。最初から騙すつもりで話すのです。

12:3 主がへつらいの唇と傲慢の舌をことごとく断ち切ってくださいますように。

 それで、ダビデが求めたことは、へつらいの唇を断ち切ることです。真実を語らず、人を騙すための言葉を語ることをやめさせることです。

 また、傲慢の唇は、神の言葉に対する高ぶりから出てくる言葉です。

12:4 彼らはこう言っています。「われらはこの舌で勝つことができる。この唇はわれらのものだ。だれがわれらの主人なのか。」

 その言葉が具体的に記されています。彼らは、自分の言葉で勝つことができると考えています。自分の言葉で人を騙し、自分の思い通りにしようというのです。彼は、誰が我々の主人なのかと言っていますが、彼らの支配者としての主を認めてはいないのです。そこに彼らの傲慢があります。

12:5 主は言われます。「苦しむ人が踏みにじられ貧しい人が嘆くから今わたしは立ち上がる。わたしは彼をその求める救いに入れよう。」

12:6 主のことばは混じり気のないことば。土の炉で七度試され純化された銀。

 「苦しむ人」は、貧しいとも訳されますが、謙る者のことです。「貧しい人」は、求める人のことで、霊的には主を求める人のことです。主の言葉に謙り、主を求める人がいるのです。しかし、彼らは踏みにじられ嘆いています。それで、主が立ち上がられるのです。彼らが求めている救いに入れるのです。彼らの求める救いは、何でしょうか。虐げからの救いでしょうか。次の節がその答えとなっています。

 主の言葉は混じりけがないのです。彼らは、その言葉の前に謙り、頼っているのです。その御言葉については、「銀」と示されています。銀は、贖いの比喩です。ここでは、数ある金属の中で銀が取り上げられているのは、信者の歩みに関係しているからです。すなわち、御言葉を信じてその中に生きて歩むならば、贖われた者としての歩みができるということです。今日、聖霊によって歩む者は、肉には死に、新しく生まれた者として歩むことができます。贖われた完全な者として歩むことができるのです。

 彼らが求めていたことは、御言葉に従って生き続けることであり、彼ら自身が歩みの中で、御言葉の実現を見るのです。主と一つであるといういのちを経験することです。そして、御国において報いを受けることを願っているのです。なお、困難からの救いは一時的なものです。彼らは、永遠のものを求めています。

・「苦しむ人」→謙る者。

・「貧しい人」→(主を)求める人。 

12:7 主よあなたは彼らを守られます。今の代からとこしえまでも彼らを保たれます。

 そして、主は、彼らを保たれます。保つというのは、彼らが御言葉に従って生きていることを保たれるのです。いつまでも保たれます。

12:8 人の子の間で卑しいことがあがめられているときには悪しき者がいたるところで横行します。

 悪者が横行するのは、人々の間で卑しいことが崇められているからです。神の目に価値のない卑しいことが、人の目には、価値あることとして崇められ。それを追求しようとするので、悪がはびこるのです。

 教会の一人ひとりが敬虔に神の言葉に従って生きることが価値あることであることを認め、神の言葉にだけ従って生きるようになれば、卑しいことに目を留めることはないのです。

 問題は、人々が御言葉に対して興味を失っていることです。御言葉の価値を知るならば、何をおいても追求するでしょう。