ネヘミヤ5章
5:1 さて、民とその妻たちから、同胞のユダヤ人たちに対して強い抗議の声があがった。
5:2 ある者は、「私たちには息子や娘がいて、大人数だ。食べて生きるために穀物を手に入れなければならない」と言い、
この抗議の声は、同胞のユダヤ人たちに向けられました。この人の主張は、自分たちの状態を訴えるだけで、同胞のユダヤ人に対する抗議の内容が含まれていないように見えます。しかし、彼らは、生きるために必要な穀物さえ、事欠いている状態が見えます。そのような状態の民がいるにもかかわらず、援助の手が差し伸べられていないことが問題です。
申命記
15:1 あなたは七年の終わりごとに、負債の免除をしなければならない。
15:2 その免除の仕方は次のとおりである。貸し主はみな、その隣人に貸したものを免除する。その隣人や同胞から取り立ててはならない。主が負債の免除を布告されたからである。
15:3 異国人からは取り立ててもよいが、あなたの同胞があなたに借りているものは免除しなければならない。
15:4 もっとも、あなたの神、主が相続地としてあなたに与えて所有させようとしておられる地で、主が必ずあなたを祝福されるので、あなたのうちには貧しい人がいなくなるであろう。
15:5 ただしそれは、もしあなたが、あなたの神、主の御声に確かに聞き従い、私が今日あなたに命じるこのすべての命令を守り行ったなら、である。
15:6 あなたの神、主はあなたに約束したようにあなたを祝福されるから、あなたは多くの国々に貸すが、あなたが借りることはない。また、あなたは多くの国々を支配するが、彼らがあなたを支配することはない。
15:7 あなたの神、主があなたに与えようとしておられる地で、あなたのどの町囲みの中ででも、あなたの同胞の一人が貧しい者であるとき、その貧しい同胞に対してあなたの心を頑なにしてはならない。また手を閉ざしてはならない。
15:8 必ずあなたの手を彼に開き、その必要としているものを十分に貸し与えなければならない。
15:9 あなたは心によこしまな考えを抱き、「第七年、免除の年が近づいた」と言って、貧しい同胞に物惜しみして、何も与えないことのないように気をつけなさい。その人があなたのことで主に叫ぶなら、あなたは罪責を負うことになる。
15:10 必ず彼に与えなさい。また、与えるとき物惜しみをしてはならない。このことのゆえに、あなたの神、主は、あなたのすべての働きと手のわざを祝福してくださるからである。
15:11 貧しい人が国のうちから絶えることはないであろう。それゆえ私はあなたに命じる。「あなたの地にいるあなたの同胞で、困窮している人と貧しい人には、必ずあなたの手を開かなければならない。」
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5:3 またある者は、「私たちの畑も、ぶどう畑も、家も抵当に入れなければならない。この飢饉に際して穀物を手に入れるために」と言った。
ある者は、飢饉に際して、同胞のユダヤ人から穀物を手に入れるために、畑、ぶどう畑、家を抵当に取られました。
申命記
24:10 隣人に何かを貸すとき、担保を取りにその家に入ってはならない。
24:11 あなたは外に立っていなければならない。あなたが貸そうとするその人が、外にいるあなたのところに担保を持って出て来なければならない。
24:12 もしその人が貧しい人なら、その担保を取ったままで寝てはならない。
24:13 日没のころには、その担保を必ず返さなければならない。彼は自分の上着を着て寝て、あなたを祝福するであろう。また、そのことはあなたの神、主の前であなたの義となる。
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5:4 またある者は言った。「私たちは、畑やぶどう畑に課された王の税金を支払うために、金を借りなければならなかった。
5:5 現に、私たちの血肉は私たちの同胞の血肉と同じだし、私たちの子どもも彼らの子どもと同じだ。それなのに、今、私たちは息子や娘を奴隷に売らなければならない。実際、もう娘が奴隷にされている者もいる。ところが、私たちの畑もぶどう畑も他人の所有となっているので、私たちにはどうする力もない。」
ある者は、同胞から金を借りました。そして、さらに息子や娘を奴隷として売らなければなりませんでした。
レビ記
25:35 もしあなたの同胞が落ちぶれて、あなたのもとで暮らしが立たなくなったなら、彼をあなたのところに在住している寄留者のように扶養し、あなたのもとで生活できるようにしなさい。
25:36 彼から利息も利益も得てはならない。あなたの神を恐れよ。同胞があなたのもとで生活できるようにしなさい。
25:37 彼に金を貸して利息を取ってはならない。また食物を与えて利益を得てはならない。
25:38 わたしはあなたがたの神、主である。わたしは、あなたがたにカナンの地を与えてあなたがたの神となるために、あなたがたをエジプトの地から導き出したのである。
25:39 もし、あなたのもとにいるあなたの兄弟が落ちぶれて、あなたに身売りしても、彼を奴隷として仕えさせてはならない。
25:40 彼はあなたのもとでは雇い人か居留者のようでなければならず、ヨベルの年まであなたのもとで仕える。
25:41 こうして彼とその子らはあなたのもとから出て行き、自分の一族のもと、自分の先祖の所有地に帰る。
25:42 彼らは、わたしがエジプトの地から導き出した、わたしのしもべである。奴隷の身分として売られてはならない。
25:43 あなたは彼を酷使してはならない。あなたの神を恐れよ。
25:44 あなたのものとなる男女の奴隷は、あなたがたの周囲の国々から来た者であり、彼らの中から男女の奴隷を買い取ることができる。
25:45 あるいは、あなたがたのところに在住している居留者たちの子どもの中からも、または、あなたがたの間にいる彼らの家族で、あなたがたの国で生まれた者からも買い取ることができる。彼らはあなたがたの所有とすることができる。
25:46 あなたがたは彼らを、あなたがたの後の子孫にゆずりとして与え、永遠に所有として受け継がせ、奴隷とすることができる。しかし、あなたがたの同胞であるイスラエルの子らは、互いに酷使し合ってはならない。
25:47 もし、あなたのところに在住している寄留者の暮らし向きが良くなり、その人のところにいるあなたの兄弟が落ちぶれて、あなたのところに在住している寄留者に、あるいはその寄留者の氏族の子孫に身を売ったときは、
25:48 身を売った後でも、その人には買い戻される権利がある。彼の兄弟の一人が彼を買い戻すことができる。
25:49 または、その人のおじや、おじの息子が買い戻すこともできる。または、一族の近親者の一人が買い戻すこともできる。あるいは、もし暮らし向きが良くなれば、自分で自分自身を買い戻すこともできる。
25:50 買い主とともに、自分が身を売った年からヨベルの年までを計算する。身代金は、その年数に応じて、雇い人の場合の期間にしたがって決める。
25:51 もしまだ多くの年数が残っているなら、その年数に応じて、自分が買われた金額のうちから買い戻し金となる分を払う。
25:52 ヨベルの年までわずかの年数しか残っていなくても、彼はそのように計算し、その年数に応じて買い戻し金となる分を払う。
25:53 彼は年ごとに雇われる者のように扱われなければならない。あなたの目の前で酷使されてはならない。
25:54 たとえ、これらの方法によって買い戻されなかった場合でも、ヨベルの年には、その子らと一緒に出て行くことができる。
25:55 イスラエルの子らは、このわたしのしもべだからである。彼らは、わたしがエジプトの地から導き出した、わたしのしもべである。わたしはあなたがたの神、主である。
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5:6 私は彼らの抗議と、これらのことばを聞いて、激しく腹を立てた。
ネヘミヤが腹を立てたのは、彼らが律法に背いて同胞を顧みなかったからです。
5:7 私は十分考えたうえで、有力者たちや代表者たちを非難して言った。「あなたがたはみな、自分の同胞たちに、利子をつけて金を貸している。」そして大集会を開いて彼らを責め、
彼は、腹を立てましたが、感情のままに行動したのではありません。十分考えてから行動しました。そして、有力者たちや代表者たちを非難しました。彼らが同胞に対して利子をつけて金を貸していることは、律法に背くことでした。
彼は、個別に有力者や代表者たちを責めることをしないで、大集会を開いて責めました。それは、対象となる人たちが、有力者であり、代表者たちであったからです。彼らが正されなければ、集会全体に影響が及びます。
テモテ第一
5:20 罪を犯している者をすべての人の前で責めなさい。そうすれば、ほかの人たちも恐れを抱くでしょう。
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これは、長老に対する取り扱いの文脈で記されていることであり、長老であって罪を犯している者について全ての人の前で責めるのです。指導的立場にある者が罪を犯した場合、悪い影響を除くために皆の前で責めることになります。
5:8 彼らに言った。「私たちは、異邦の民に売られた同胞のユダヤ人を、できる限り買い取った。それなのに、あなたがたはまた自分の同胞を売ろうとしている。彼らはまた私たちに売られなければならなくなる。」すると彼らは黙ってしまい、一言も言えなかった。
ネヘミヤたちがしていたことは、異邦の民に売られた同胞をできる限り買い戻すことでした。しかし、彼らのしていたことは、結果的に同胞を異邦人に売り渡すことになります。そして、巡り巡ってその売られた人たちをネヘミヤたちが買い取ることになります。
彼らは、言うべき言葉を見つけられませんでした。
5:9 私は続けた。「あなたがたのしていることは良くない。あなたがたは、私たちの敵である異邦の民から侮辱を受けることなく、私たちの神を恐れつつ歩むべきではないか。
そして、彼らのしていることは、敵から侮辱を受けることになります。兄弟を愛さないからです。神の民が神の戒め背くことで、謗りを受け、侮辱を受けるのです。
5:10 私も、私の親類の者も、私の配下の若い者たちも、彼らに金や穀物を貸してやったが、私たちはその負債を帳消しにしよう。
5:11 だから、あなたがたも今日、彼らの畑、ぶどう畑、オリーブ畑、家、それに、あなたがたが彼らに貸していた金や穀物、新しいぶどう酒、油などの利息分を彼らに返してやりなさい。」
ネヘミヤは、彼らに、利息分を返してやるように求めました。彼は、それを求めるにあたって、自ら模範を示しました。彼も、親類の者も、若い者も貸したものについてその負債を帳消しにするというものです。非常に大きな犠牲を払いました。利息分だけ返すことに比べたら、比べ物になりません。
5:12 すると彼らは、「私たちは返します。彼らから何も要求しません。私たちはあなたの言われるとおりにします」と言った。そこで私は祭司たちを呼んで、この約束を実行する誓いを立てさせた。
彼らは、すぐにその言葉に従いました。そして、それが言葉だけで終わることがないように誓いを立てさせました。
5:13 私はまた、衣の裾を振って言った。「この約束を果たさない者はだれでも、神がこのように、その人の家から、また、その人の勤労の実から振り落としてくださいますように。このように振り落とされて、無一文になりますように。」すると全会衆は、「アーメン」と言って主をほめたたえた。こうして民はこの約束を実行した。
また、彼は、約束を果たさないことに対して、主が彼らを無一文にするように求めました。家は、子孫が与えられること、勤労の実は、収穫のこと。それらを失うことです。
全会衆は、喜んで同意し、さらに、それが神の目に適ったことであるので、主を褒め称えました。
5:14 また、私がユダの地の総督として任命された日から、すなわち、アルタクセルクセス王の第二十年から第三十二年までの十二年間、私も私の親類も総督としての手当てを受けなかった。
彼は、人の目に触れないことについても、民のために多くの犠牲を払っていたことを主の前に告白しました。全ては、民のためです。
5:15 私の前任の総督たちは民の負担を重くし、銀四十シェケルのほかにパンとぶどう酒を民から取り立てた。しかも、彼らに仕える若い者たちは民にいばりちらした。しかし、私は神を恐れて、そのようなことはしなかった。
5:16 また、私はこの城壁の工事に力を注ぎ、私たちは農地を買わなかった。私の配下の若い者たちはみな工事に集まっていた。
5:17 ユダヤ人と代表者たち百五十人、また私たちの周囲の国々から来る者が、私の食卓に着いていた。
5:18 そのため、一日に牛一頭、選り抜きの羊六頭が料理され、私のためには何羽かの鳥が料理された。それに、十日ごとに、あらゆる種類のぶどう酒がたくさん用意された。それでも私は、この民に重い負担がかかっていたので、総督としての手当を要求しなかった。
5:19 私の神よ。どうか私がこの民のためにしたすべてのことを覚えて、私をいつくしんでください。
彼は、列挙した良いことが神の目に適っているとは考えませんでした。それを評価される方は、主です。それで、列挙したことが御心に適って評価されることを願いました。自慢しているのではないのです。
・「覚えて、いつくしんでください」→「御心に適った良いこととして覚えてください。」